UK司法省報告

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第7章 申立への対応方法

 

 

7.1はじめに

この章では子の処遇手続におけるDAの主張に対する家庭裁判所での手続について検討する。この章で委員会は実務指針12J(PD12J)が実務でどのように実施されているかについて得たエビデンスを見る。

 

エビデンスは、PD12Jが意図されたとおりに機能していないという懸念を生じさせた。それが一貫性なく実施され、そして子どもや大人の虐待被害者をさらなる危害から保護するのに効果的でない懸念があった。

 

このエビデンスは、2014年に改訂される前と後の、従前のPD12Jに関する調査で明らかになったことと一致している(注106)。PD12Jの2017年の改訂に関する体系的な実証研究はなかった(注107)。私たちは2017年改訂の影響についてさまざまなエビデンスを得た。たとえば、司法円卓会議の参加者とライツオブウーマン(Rights of Women)は2017年以降、より多くの事実認定の聴取が開催されていることを示唆した。一方で、ウェルシュ・ウーマンズエイドは、何人かのスペシャリストサポートワーカーが、2017年のレビュー以来、実務指針12Jが一貫して適用されているのを見たことがなく、そして変更以降、どのように結果が改善されたかについての例を示すことができないと話している旨報告した。全体として、家庭裁判所での経験が2018〜19年のみであった親から受け取ったエビデンスは、それ以前の時期に関するエビデンスと目立った違いはなかった。

 

第4章で特定された根本的な障壁は、なぜ継続的なPD12Jの改訂が実務であまり違いを生じなかったかの説明を助ける。委員会が受け取ったエビデンスはこれらの根底にある障壁がPD12Jの有効性を損なうためにどのように機能するかを特定した。

この点で、リソースの制約に関する懸念が特に顕著だった。司法と実務家の回答は、司法の継続性を提供できておらず、現在私法上の子の事件に多数の本人訴訟が登場していることを含む、リソースの制約が、PD12Jの効果的な実施に対する主な障壁であることについて一致していた。個人の回答者は、裁判所が個々の事件にかける時間が少なすぎること、当事者と関わりを持たずに事件を処理するだけであること、聴取に不十分な時間しか割り当てられていないこと、判事及び治安判事が聴取前に記録を読んでいないこと、および裁判所と訴訟当事者間のコミュニケーションの難しさについてもコメントした。また、裁判所のプロコンタクトカルチャー、事実認定の当事者主義的プロセス及び家庭裁判所のサイロワーキング(孤立した業務遂行)が、どのようにPD12Jの有効性を制限するように機能するかを、エビデンスは示した。不十分なリソースと他の根本的な障壁の問題に対処しなければ、それらは実務指針の実施に悪影響を及ぼし続けるだろう。

 

7.2 PD12Jに関する一般的な所見

PD12Jは、子の処遇事件でDAの主張があった場合に裁判所が何をすべきかを詳細に示している。ほとんどの回答は、全体としての実務指針ではなく、PD12Jプロセスの特定の側面についてのエビデンスを提供した。PD12Jについて総合評価を行った人々は、PD12Jの起草、適用されたときのPD12Jの有効性、そしてPD12Jの実施一般という3つの側面について言及した。

 

PD12Jの起草についてのコメントは比較的少なかった。一部の専門家回答者は、PD12Jはドラフトが不十分で、長く複雑すぎて、さまざまな解釈の可能性があり、そして法律家でない者にとってユーザーフレンドリーではないと主張した。一部の父親は、非同居親が虐待の被疑者で、同居親が被害者と想定されるという観点から組み立てられているという事実についての懸念を表明した。これは子どもたちが一緒に住んでいる親が虐待の被疑者という状況に対応し損ねている。しかし、PD12Jに関して提起されたほとんどの懸念は、起草とは関係なかった。

 

回答した専門家の大多数は、PD12Jは順守さえされていれば効果的であるという見解をもっていた。たとえば、Nagalroは次のように回答した。「実務指針12Jは実施されていれば、子どもや虐待の被害者を保護するのに非常に効果的だ。しかしながら、Nagalroは、裁判におけるリソースの不足及び両親が利用できる法的助言の欠如によってその実施が妨げられていることを理解している。」

 

この引用が示すように、回答の重要なテーマはPD12Jの実施に深刻な欠如があるということだった。回答者は、実務指針という「書かれた法」とそれが実際どのように機能するかという「訴訟における法」の間の実質的なギャップが存在することを感じている。

 

何人かの個人の当事者が、彼らの事件でのPD12Jの適用についてエビデンスを提出し、または、PD12Jが適用された手続を説明した。しかし、多くの個人の当事者は、PD12Jについて言及されず、注意喚起されたことはなく、または裁判官や弁護士によって無視されたと主張した。個人および一部専門家の回答者は、特に何人かの治安判事、Cafcass職員、地方自治体のソーシャルワーカーの一部がPD12Jについて認識せずあるいは精通していないと指摘した。しかし、PD12Jが適用されないことに関する懸念は、司法及び専門家の認識の欠如との関連よりも、裁判所が、彼らが提起したDAの主張を無視し、聞くことを拒否、または却下し、そして事実認定の聴取を命じることを拒否したという回答者の認識とより大きく関連していたようだ。たとえば、ある母親は次のように報告する。;「私は裁判官に12Jを思い出させた。そして彼に、なぜ事実認定を命じなかったのかと尋ねた、彼はこう言ったんです、お聞きなさい 若いレディー、法律についてあなたが私に言うなと。そして(彼は)質問を無視したのです。」次の事件はより拡張された例を提供する:

私は2019年3月にFHDRAの法廷聴取に出るよう言われた。…2016年からの自分の子の父によるDAの証拠を持つ低所得のひとり親[として] 、私は法律扶助を受ける資格があった。しかし、私は1カ月の予告を与えられただけなので資金調達を手配する時間が足りなかった、そして私は自分自身を被告および本人訴訟として直接代理することを強制された。…CAFCASSの職員といた[調停]中、私に対する[片親引離しと子ども誘拐の可能性の]主張、そしてセクション7に基づく私が行っているDAの主張について事実認定の審理(enquiry)を求め、そしてどのような決定が下されるのかについて私の息子も彼の意見を述べたがっていると言った。CAFCASS職員は私に向き直り、軽蔑的なトーンで言った、「うん、それは起こらないだろう」。支配的そして威圧的行為、精神的虐待、心理的に追い詰めるガスライティング、私の物の棄損、私の息子に対する感情的な脅しそして身体的虐待の歴史を含む、私がDAに関して裁判所に提供した情報と証拠は、CAFCASS職員と裁判所によって、完全に無視された。―まるでそれらが完全に取るに足らないものであり、問 題ではなかったかのように、単純に無視され、対処されず、カーペットの下に掃かれた。私は父親のアルコール依存症も強調したが、これも同様に無視された。しかし「お父さんのために何が得られるか見てみましょう」というようなコメントが裁判所アドバイザーと治安判事から述べられた。母親、エビデンスの照会

 

少数の個人の回答者が、PDに関する前向きな経験を報告した

 

「私は、12Jダイレクションを大いに理解し、私にとてもよくしてくれた判事を得られてラッキーだ。しかし彼女は、作成を命じた文書を作成しない私の虐待者にもあまりにも多くのチャンスを与えた。私はこのような理解のある(判事を得られた)のが、自分が数少ない幸運な人の一人だと100%知っているので、おそらく彼女は他の裁判官が12J理解するのを助ける良い裁判官になるでしょう。」母親、エビデンスの照会

 

しかし、そのような前向きな経験は、委員会にエビデンスを提出した人々の中で少数派だった。

 

7.3親の関与の推定

親の関与の推定は、2014年に1989年児童法に追加された。あるレベルでそれは、別離後の子どもの生活における両親の継続的な関与を促進する既存の判例法にほとんど追加しなかった(注108)。しかし、別のレベルでは、それはさらなる可能性、より微妙な判例法の展開を制限し、コンタクトの基準の全ての例外は狭く解釈すべきという観念を強化する法的根拠を与えた。PD12Jのパラグラフ7は、特にDAによる危害または危害のリスクの全ての主張または証拠を考慮して、すべての事件において推定が適用されるかどうかを裁判所が慎重に検討することを要求している。

 

専門家の回答者は、この推定の与える影響について、広く多様な観点をのべた。一部の人はそれに同意し、それが有益なリマインダーであると考え、他の人はそれが無意味だと言い、決して言及しなかった。英国自閉症支援会は、それが悲惨だと回答した:「それは、支配的虐待的な元パートナーに、元配偶者だけでなくその子どもたちを、保護なしに、虐待/支配する18年間の自由な統治を与えることになりうる」

 

母親もまた、それが虐待的な親に、非虐待的な親と子どもに対する力そして虐待者が自由に使うことができる合法的な武器を与えると感じた。彼女らは、推定は、子どもの福祉と、虐待とその影響からの安全の権利より上位にある権利として、両親との関係を保つ子どもの権利と父親の家族生活の権利を誤って強調したと考えた。

「これは非常に危険な法律です。私の子どもたちの父親は有害で攻撃的で支配的な男です。…これは注意深く見る必要があります。彼らが彼/彼女の遺伝子を共有しているというだけの理由で、調査の前に、その人物が子どもの福祉を促進すると推定することは正しくない。」母親、エビデンスの照会

 

母親は、推定は、個別にその子どもに基づくよりもむしろ一般的に判断される事件をもたらし、裁判所は事実を見ず、子どもの声が失われるといったことを生んでいると主張した。フォーカスグループの1つに所属する母親は、彼女らの弁護士から彼女らの虐待者はコンタクトを許され、彼女らがそれについてできることは何もないと言われたと述べた。

 

「私の弁護士は、自分は共感し、完全に理解しているが、システムのありようで、あなたの夫が彼の子どもたちとコンタクトを得ないためには彼が殺人者でなければならないでしょうと強調して言った…私は以前のABHのおかげで、彼らは私の子どもたちを引き渡さないだろうと自信を持っていた。そして彼女は『冗談ではなく、ABHの複数の記録を持っている父親が監視なしのコンタクトを持っている(許可された)のを見てきました。あなたが今日この訴訟に勝つことはない』と言った。」サバイバーフォーカスグループ参加者

 

父親は推定について異なる見解を表明し、彼らの事件で適用されるべきときに適用されず、適用されるべきでないときに母親の利益のために適用されたと不平を言った。ある男性のフォーカスグループ参加者の報告:

 

「私の弁護士は私に言った:私がそれを認めるにしても否定するにしてもいずれにせよ、私はまだ私の子どもに会えるだろう、とね。弁護士は、私が私の子どもに会わない大きなリスクではないので、どちらにしても彼らは私に私の子どもと会わせるだろうと言った。」

 

推定が適用されない状況の質問について、専門家の回答者はまた、適切な事件で適用されないから、一貫性なく適用されない、極端な場合にのみ適用されない、決して適用されないまで色々だった。複数の専門家は、推定は、差止命令、深刻な安全保護上の懸念、またはDAの決定的な認定がない限り適用されると報告した。Surviving Economic Abuseは、被害からのサバイバーが効果的に推定に反論するために法的助言と代理が必要だと主張した。

 

全体として、委員会が受け取ったエビデンスは、推定が一貫性がなく実施されていること、適用されないことはめったにないことを示唆した。裁判所のプロコンタクトカルチャーがDAに対処する障壁となっていることは、その文化を強化することにもつながる。

 

7.4事件の初期段階と事実認定についての決定

PD12Jで指定されている手順は、個別の部分に分類される。このセクションでは、メディエーションとコンシリエーションの検討、主張されたDAが「関連性がある」かどうか、そして事実認定聴取が必要かどうかの決定を含む事件の初期の段階について協議する。次のセクションでは、事実認定聴取と事実認定後の手続をそれぞれ別に扱う。

 

7.4.1メディエーションとコンシリエーション

PD12Jは、裁判所の決定に関連する可能性のあるDAの問題があることを示唆する情報が裁判所に提供された場合には、裁判所は、当事者がコンシリエーションまたは他の形態の不適切および/または安全ではない紛争解決に関与することを期待されていないと確認しなければならない(注109)。そのような事件のコンシリエーションやメディエーションは、不平等な力関係を維持促進し、被害者への心理的および感情的な危害とトラウマ的な記憶を引き起こしうるリスクがある。

 

エビデンスの照会に応じた多くの母親は、DAに関する情報を提供したにもかかわらず、法廷でCafcass / Cafcassウェールズによりコンシリエーションに参加するように、あるいはメディエーションに出席するように助言、要求または指示されたと感じ、メディエーションを試みなかったことで批判されたと報告した。これは、PDのパラ9に反しているようだ。たとえば、この章の冒頭で説明された事件の母親は、法廷で相手方およびCafcass職員と和解するよう求められた。

 

「[コンシリエーション セッション]の終わりにCAFCASSの職員に、虐待的な元パートナーと一緒に部屋で座るのは信じられないほど困難だったと言うと、彼女は虐待について何も知らないかのように驚いたように見えました–彼女は申立書を読んだことさえあったのか?」母親、エビデンスの照会

 

同性パートナーがいた別の母親は次のように報告した。:

 

「私は保護を提供されず、2つの選択肢が与えられた–虐待的な元パートナーとのメディエーションに行くか、または私の子どもを私の子どもとは血縁的つながりのない私の元パートナーと一緒に住まわせるか」母親、エビデンスの紹介

 

そしてある父親はこう述べた:

 

「私は虐待的な元妻とのメディエーションを余儀なくされました。これは決してうまくいくはずがないものでしたが、裁判官はこれを好意的に見ていると常に忠告された。すべての段階で、私が子どもを第一にしようとしていたという理由だけで、私の状況に配慮はなかった。父親、エビデンスの照会

 

委員会は、安全でないメディエーション、コミュニティ紛争解決実務、虐待の脆弱なサバイバーの人権を保護する正式な法制度の重要性について、DA慈善団体からエビデンスを受け取った。

 

DAの主張への判断がなされる前の最初の聴取において、コンシリエーションとメディエーションが通常考慮されることを考えれば―そしてPD12Jのパラ9は実施されない―、主張された虐待が認められ、対処され、当事者が自分自身で自由に話し、交渉することができることを示す肯定的な証拠がない限り、裁判所は予防的アプローチを取るべきだ。(訳者注:当事者が対等でない場合、調停という手法をとるには慎重になるべきだ)

 

7.4.2事実認定聴取をするかどうかの決定

PD12Jは、裁判所に、子どもの福祉と関連する全ての決定に関連しうる問題としてDAが主張されたかどうかを最も早い機会に確認することを要求している(注110)。主張された虐待が裁判所の発出するその種の命令に関連する可能性が高い場合のみ、裁判所が争われた主張に関して事実認定聴取をすることを検討しなければならない。

 

委員会への個人の回答は、一般的に深刻なDAの経験を説明していた。しかし、我々は裁判所が関連性と事実認定についての決定の際多面的な行動に直面していることを認識している。一部の法律専門家は、裁判所は正しい決定を下しており、事実認定の聴取は、なされるべきときに実施されると主張し、他の人は、事実認定の聴取が頻繁過ぎるほど行われていると考えていた。ほとんどの回答は関連性と事実認定の必要性に関する意思決定について、異なる裁判官と治安判事のベンチの間で一貫性がなく予測できないと説明し、または裁判所は、すべきときに事実認定の聴取を開催できてないと主張した。これは2017年のPD12Jの修正の前の事実認定聴取の頻度に関する限られた研究と一致している(注111)。この章の冒頭で述べたように、一部の回答者は、事実認定聴取の数がこれらの修正の後で増加していると考えた、しかし個人の専門家および組織からのほとんどの回答は、事実認定の聴取が増加したと感じていなかった。家庭裁判所での経験が2016〜19年に及ぶDA被害者の家族メンバーは、PD12Jの有効性に関するエビデンスの照会における質問に回答した:

 

「効果がない。3年間の訴訟の後、私たちはこの指針に気づいただけだった。私たちがそれを提起したとき、裁判官は証拠がどこにあるのか、なぜこれまで事実認定された事件がなかったのかと言った。DAはすべての母親の事件ヒストリーに引用されていたので、これは良い質問です。」家族メンバー、エビデンスの照会

 

PD12Jは、裁判所命令の場面で、事実認定の聴取は必要ないとした決定の理由を記録することを裁判所に求める。今日まで、裁判所によって与えられた理由があるかどうか、もしそうならどのような理由があるかを分析するための裁判所命令のレビューはなかった。しかしながら、回答者は、なぜ裁判所がDAの主張は関係がなく、それゆえ事実認定の聴取は必要ないと決定しえたのか、さまざまな説明を提供した。

 

一部の法律実務家は、裁判官は限られた証拠しか入手できない事件の最初にしばしば関連性を決定する必要があると指摘した。裁判官が主張は関連性がないとその段階で決定した場合、さらなる証拠を生み出す機会はまた制限される。より一般的には、回答者は、裁判所が提示した事実認定聴取を行わなかった様々な理由を詳述したが、回答者はこれらは申立の関連性を組織的に矮小化するものだと捉えている(注112)。これらには以下が含まれる:

•主張された虐待が子どもと非虐待親に与える実際の影響を評価するのではなく、主張の深刻さについて一般化された推定を適用する、例えば(身体的に比し)「感情的な」虐待、「歴史的」といわれる虐待、子どもたちの前で起こらなかった虐待、前回の「事件」以降にコンタクトがあった虐待、または間接的または非接触に帰着しうるそれほど深刻ではなかった虐待の主張を割り引く

•事実認定の機会なしに証拠が不十分であるために主張を割り引く-

•虐待を立証するために提供された証拠を却下または信じない

•関連性を決定する際に裁判所が検討する資料を制限する。例えば他の証拠を見ず、安全保護レターにあるCafcass / Cafcass ウェールズの推奨に単に従うだけ

•事実認定の聴取の必要性を回避するために、限られた自白(admission)を受け入れる

•関連性または虐待が発生したかどうかに関する決定をCafcass / Cafcass ウェールズまたは専門家に委ねる

•いずれにせよコンタクトは実施されるので違いはないという理由で、主張を無視あるいは主張に基づいて先験的に対処することを拒否する

 

回答者はさらに、非常に深刻なDAの認定だけが直接的なコンタクトの推定を覆すので、多くの事件で裁判所が事実認定の聴取を不必要だと考えていることを示唆した。

 

「裁判官と相手の法廷弁護士は、私の訴訟が成功する可能性はほとんどないと言った。私の証拠は「弱く」、単なる「一連の孤立した事件」であると言われた。子の処遇命令には、たとえ証明されたとしても、裏付証拠と警察の情報開示を添えて私が提起したDAについての主張はいずれも、監視なしのコンタクトと宿泊を含む、子どものコンタクトの制限につながるものではない、との一行が書かれていた。」母親、エビデンスの照会

 

事実認定の聴取を開催することを躊躇する2番目の説明は、リソースの障壁とつながることを委員会は特定した。司法と実務家の回答者は、全員、リスティングプレッシャーでの遅延や裁判所が個々の事件に適切な時間を割けないことを含む、リソースの制約がPD12Jの効果的な実施の主な障壁であることに同意した。事実認定の聴取は時間を消費しリソースを集中する。裁判所が現在のリソースでDAが主張されている全ての事件で事実認定聴取を行うことは単純に不可能だろう。多くの回答者は、事実認定の聴取が予定された場合に関連する、聴取の準備のための予備手続、聴取の日程確保、聴取後に関連する活動、および問題が解決しない場合はさらなる聴取のスケジュール調整を含む、長い遅延に言及した。

 

いくつかの回答は3番目の説明を提供した:裁判官は、当事者間の敵意を高めないため、事実認定聴取をしないこと決定することがある。これは委員会によって特定された当事者主義的構造の障壁につながる。事実認定聴取は非常に当事者主義的であり、当事者間で彼らの子どもを共同養育する協力関係の可能性を損なうか破壊しうる。この根拠は、これが事実であるかどうかを調査せず、DAの疑いがあるにもかかわらず、安全なコンタクトが可能であり、協力的な共同養育関係が可能であることを前提としている。しかしそれは、裁判所の決定に影響を及ぼしうる事実認定プロセスの別の欠点を指摘する。

 

「私の最初の聴取を対応した裁判官は素晴らしかった-彼らは事実認定、薬物とアルコールのテストを命じ、2回目の虐待禁止命令の申立を私にアドバイスした」。母親、エビデンスの照会

 

回答は、事実認定の聴取がすべての事件に義務付けられるべきであることや裁判所の裁量を削除すべきことを示唆しなかった。しかし、彼らは訴訟当事者にとっての手続的公正の重要性、特に彼らが聞いてもらったと感じることの必要性を強調した。良い実務のエビデンスの例があった。

 

対照的に、多くの母親は自分たちの懸念が真剣に受け止められていないと感じていたが、一方で父親はまた、自分に対する疑惑を検証する機会を与えられていなかったことに懸念を表明した。一部の弁護士や裁判官も、主張が早期の事実認定によって「寝かされ」ないなら、水面下で「煮る」ことを続け、後で問題を引き起こすことになるとの視点をもった。対照的に、DVIPフォーカスグループにいる父親は、彼らは事実認定プロセスを困難に感じたが、彼らに彼らの行動に向き合い、彼らが虐待的であることを否定するのをやめる手段として、それは前向きな影響があったと言った(注113)。

 

7.5事実認定聴取

すでに述べたように、事実認定の聴取は高度に構造化され、技術的で当事者主義的な手続である。DAを主張する当事者は、相手方がどのような事件に答えなければならないかを知るため、十分な主張の詳細を提供し、主張を裏付ける証拠の提供を求められる。相手方は主張に応答し、彼らの事実説明を裏付ける彼ら自身の証拠の提供を求められる。その後、両当事者の証拠は、反対尋問を通じて聴取で検証される。私たちが受け取ったエビデンスは、事実認定聴取の構造、および限られたリソースの範囲内で事実認定の聴取を管理するために裁判所が採用した戦略が、特に長期的な虐待、精神的虐待、威圧的支配、および子どもの性的虐待のDAの主張を決定するのにあまり適していないことを示していた。この母親によると、それらは主な加害者を特定したり、虚偽の主張を正確に特定するのにも適していない:

 

「事実認定は、信頼できる親に適用されなければ、ほとんど価値がありません。出てきたネガティブなことは親の適格性として提示され、片方の親が問題と強調されると、他のことは他方の親に対抗するための小さなことのように見なされる。あらゆる行為の重大性は抑えられ、些細なことが促進された。」母親、エビデンスの照会

 

7.5.1スコットスケジュール

スコットスケジュール(一覧表)は、事実認定手続を支援するために家庭裁判所によって使用される手法である。それは、虐待の主張をしている人がそれぞれの主張を分けて記載し、各主張の簡単な詳細を提供し、求められる認定を提示する。さらなる主張の詳細は、当事者の証人陳述書に記載される。その一覧表は相手に送信され、相手は各主張に対する回答を簡単に示し、そして再び彼らの証人陳述書でさらなる詳細を提供する。完成したスコットスケジュールにより、裁判所は主張の範囲、当事者間の論点、主張を行う当事者が証明する必要があることを特定することができる。

 

委員会への回答は、事実認定聴取のスコットスケジュールの使用についていくつかの深刻な懸念を引き起こした(注114)。

 

まず、スコットスケジュールは、法律家が使用するように設計されたツールである。専門家の回答者は、彼らは虐待の経験を完全に正確に表現することができないという意味で、訴訟当事者が理解し遵守するのが非常に難しいとみていた。PD12Jは、最初の聴取(FHDRA)で、裁判官の助けを得て、スケジュールを完了することが実行可能かどうかを検討する必要があると示すことにより、ある程度これに対応しようとしている(注115)。しかし、このオプションはほとんどなされず、ある地域の法律家グループは、FHDRAがリーガルアドバイザー(Legal Adviser)のみで行われている場合にはそれをすることは不可能であると述べた。

 

第二に、スコットスケジュールは、行動のパターンではなく、個別の事件に焦点を当てて設計されたものである。PD12JのDAの定義が2014年、威圧的支配的な行動を組み込むよう修正されたとき、裁判でその修正を充足するのにこれをどのように確立するかという点について注意が払われることはなかった。PD12Jは単に事実認定聴取の指示を与える際に、裁判所は“何の証拠が威圧、支配、脅迫行為またはその他の形態のDAの存在を決定するために必要なのか”を検討すべきと述べるのみである(注116)。実務では、スコットスケジュールは引き続き使用され、精神的虐待または威迫支配の証拠を容易にするための適応はほとんどまたはまったくない。たとえば、Rights of Womenはスコットスケジュールと附属ステートメントで主張されるうるものに関し、一部の裁判官が、一定期間にわたる行為の主張、加害者の威圧的支配についての話を許可しているなどのさまざまな司法慣行を指摘した。しかし、他の裁判官は、主張は個別の事件にのみ関連するものであるという厳格な意見を持っていた。

 

第三に、司法資源と聴取時間の限られた利用可能性のために、スコットスケジュールは事実認定聴取の範囲を制限するための主要な手法になっているようだ。主張を行う親は、スコットスケジュールで限られた数の主張をするよう(4〜6件の主張が一般的に指定されるようだ)指示される場合がある。あるいは、スコットスケジュールが提出された後、裁判所は少数の個別の主張に関する証拠のみを聞くと指示する。これにより、時間を節約できるが、事実認定を少数の主張に限定することは恣意的であり、事実認定の目的を弱体化させる。それは裁判所が事件を処理する基礎となる正確な事実を確立すること、または子どもと非虐待親が直面する将来の虐待のリスクを適切に特定することを困難にする。また、当事者に手続的公正を提供するものでもない。

 

多くの回答者は、そのような制限の悪影響を指摘した。彼らは事実認定が、通常は身体的暴力を伴う最も「深刻」と思われる、あるいは最も凶悪または悪質な個々の事件にのみ焦点を当てるようになると指摘した。これにより、被害者および/または子どもたちへの最大の心理的影響を与えていた可能性のある、日常的で継続的な形態の虐待が除外される。「本当にダメージを与えるものはスコットスケジュールに入れることができないもの」(サバイバーフォーカスグループの参加者)。またそれらの「深刻な」事件のより広い文脈を取り除くことで、これらが一つ一つの事象であり、したがって、現在進行形の重要性をもたない「異なる性質の」または「1回限りの」出来事としてより簡単に却下されるということにつながった。

 

サバイバーフォーカスグループの参加者は、彼女の虐待の経験全体が「多すぎる」として却下され、裁判所はそれをすべて考慮することができず、その結果として彼女の子どもの将来と安全はわずか4つの選択された主張によって決定されるものとなった。別の人は、治安判事は彼女のスコットスケジュールについて:「『これは少し長すぎます。15ポイントカウントしました!』と言い、「彼らは私を笑った。」と話した。サウスオールブラックシスターズは、以下の「サルマ」という仮名のサービスユーザーの1人の経験の説明回答概要を提供した

 

回答の概要

2018年の子どもに関する最初の法廷聴取で、サルマは裁判所から「スコットスケジュール」を6つの事件のみ維持するように言われ、あまり多くの詳細に入らないことを忠告された。サルマはまた、「感情的にしないでください」と言われた。…サルマは彼女の虐待の歴史をわずか6件に矮小化されて、彼女が、彼女と子ども達への夫の操作と支配の程度を示すことを許可されなかったことに、信じられないほど侮辱されたと感じた。彼女を絞め殺そうとする試みを含む深刻な経験は矮小化され無視された。…[事実認定の聴取に関しては]「治安判事は6つのうちどれを無視するかを決定し、1年以上前のものはすべて考慮せず無視した。子どもたちについてすることは完全に取り去られた。「ああ、あなたはここで虐待され、しかし子どもたちもまたそう。子ども達はここいいないので我々はそれを取り除かなければならない」

 

私たちはまた、申立数、陳述書の長さの制限を遵守したら、提出した詳細が不十分だと批判された被害者の説明を受け取った、そしてサバイバーフォーカスグループの参加者の1人は、彼女のスコットスケジュールが長すぎたため、1,000ポンドのコスト命令を課されたと言った。

 

実務家からみると、スコットスケジュールを使用し、主張数を制限することのさらなる効果は、裁判所が一般的に、威圧的支配、ハラスメント、ストーカー行為などが関わる微妙で継続的な行動パターンにさらされない、その結果として、家庭裁判所は目の前にある事件の虐待の程度と性質を十分に認識することがないということである。

 

7.5.2立証責任とバイナリ効果(binary outcomes)

主張を行う人は、それを立証する責任を負う。しかし、DAや子どもの性的虐待の主張を行う親は、この負担は難しすぎると認識した。前述された威圧的支配と精神的虐待の証拠にまつわる問題と同様に、裁判所がしばしば、主張を立証するために、補強証拠を求めることが多くの回答から明らかになった。これは密室で虐待が発生し、外の世界には見えないDAの多くの事件-特に成人と子どもの性的虐待と威圧的かつ支配的行動―で乗り越えられない障壁となりえる。補強証拠が得られない場合、裁判所は各当事者の信用性を評価し、いずれの当事者の説明が好ましいか決定することができる。子どもの性的虐待の主張の問題について、当事者や組織からの回答は、裁判所が子どもと活動する専門家の意見を受け入れず、さらに高い立証義務を課すこと、時には有罪判決を主張立証の認定として求めることを示唆した。

 

さらに、親や彼らを支援する組織は、彼らの活動が裁判所のプロコンタクトカルチャーにより妨げられていると感じた(注117)。以下の引用は、2018〜19年に実施された事実認定聴取に関するものだ。:

 

「私の事件で事実認定が行われたが、それは滑稽でした。家庭裁判所治安判事は母親に対して偏見を持っており、DAについて無知でした。すべての物理的証拠[写真、医療記録、社会福祉報告書、警察記録とログ、虐待禁止命令]にもかかわらず、彼らは虐待がなかったと信じることを好んだ。私は敬意を持って、または脆弱な証人として扱われなかった。私の夫は証拠を持ってなかったが、彼の言葉はすべての証拠とすべての専門家意見よりも重視された。…治安判事は事件を事前に判断しており、私は公正な聴取または司法を受けなかった。」母親、エビデンスの照会

 

主張を証明する能力は、特に重要である。なぜなら当事者主義的なプロセスは黒と白の結果に帰着するからだ。灰色の色合いの余地はなくなるのだ。判例法は家庭裁判所は、主張が証明されるか証明されないか認定しなければならないと指示する―もし証明されたら、事実はあったとみなされ、しかし、それらが証明されない場合、事実はなかったとみなされる(注118)。その後、事件は虐待(または何らかの虐待)が認定された、あるいは認定されなかったものとして進行する。虐待が認定されない場合、リスク評価は行われず、命令による将来の虐待への保護はなされない。多くの個人の回答がそのような結果に恐怖を表明した。

 

これは、事実認定の聴取が行われたときだけでなく、主張した親が、事実認定の聴取を行わないことを選択したときも起こった。いくつかの事件で、母親が弁護士から事実認定の聴取手続に進めないことを助言されたが、その結果、彼女らの事件があたかも主張された虐待は起こらなかったかのように扱われることになるとは助言されなかったと言った。他の回答は、さらなる虐待、トラウマと反論を伴うので、虐待の被害者が事実認定聴取の見通しに直面することできない場合、裁判所は虐待がなかったと結論し、それにそって命令を出すと述べた。

 

第5章で説明したように、DAまたは子どもの性的虐待を主張する母親の多くの回答は、彼女らに対する片親引離しの反論主張がなされたという事実に言及した。これらの反論主張も、事実認定聴取で決定される。したがって、母親が彼女の虐待の主張を証明できない場合、裁判所は虐待がなかったと認定するだけでなく、彼女が故意に他の親と子どもたちの関係を混乱させるために虐待について嘘をついたと認定するリスクがある。反論主張がない場合でも、彼女らが自身の申立を蓋然性の均衡(balance of probabilities)に基づいて立証できなければ、裁判所は、彼女らが不必要にコンタクトを妨害したと結論づけることがあり、母親が不利なリスクを負うことを回答は示した。これは第4章と第5章に記載されている母親が表明した被害者非難、ネガティブなステレオタイプと性差別についての懸念とリンクしている。

 

PD12Jは、虐待の主張が常に別の事実認定聴取で扱われるべきことを求めていない。それらは最終的な福祉の決定の一環として決定される可能性がある(それにも欠点があるが)。しかし、回答は、事実認定の聴取が、虐待を主張する親に歓迎されない選択をもたらす、オールオアナッシングのオプションとして扱われる広範な慣行があることを示した。彼らにできることは、事実と認められない、または反論主張を受けるリスクを伴って、事実認定の聴取のトラウマに耐えるか、あるいは虐待がない事件として進められる結果を受け入れ主張を取り下げるかのどちらかである。これに関連して、Nagalroは「事実認定」が特に法的代理人がいない両親によって、裁判所で合意されることがあるが、それは事実とはほとんど関係がなく、両親の間の状況をほとんど解決せず、虐待の子どもおよび/または成人の被害者への危害とリスクを評価するうえでの価値は限られたものであると述べている。しかし、それらは事実認定のリスクに対する現実的な対応であり、その明白な勝ち負けの影響を回避する。

 

委員会は、家庭裁判所または以前の調査からの体系的なデータがないため、事実認定聴取に関して提起された多くの懸念を聴取の結果に関するデータとつき合わせて評価することができなかった(注119)。我々は、事実認定の聴取で立証された、DAの主張の割合と反論の主張の割合がわからない。これは、さらなる研究が必要な分野である。

 

7.6事実認定後:サポートサービスとリスク評価

裁判所がDAまたは子ども虐待の認定を行ったとき、回答者はしばしばその後の出来事に失望したと表明した。PD12Jは、DAが発生した場合、裁判所は―それ自身またはCafcass / Cafcass ウェールズまたは当事者を通じて―当事者または子どもを支援するため地元で利用可能な施設について(地元のDA支援サービスを含む)情報を取得する必要があるとする(注120)。エビデンスは、この規定が適用されていないことを示す。回答は、虐待の被害者と認定された人へのフォローアップの欠如、DAや子ども虐待サービスへの照会がないことを記録した。サバイバーは、裁判所が現在、彼らと彼らの子どもたちが苦しんでいた危害と彼らの回復の必要性の認識よりも、「先に進むこと」と、多くの場合、(第9章で説明したように)コンタクトを回復することの方により興味を持っていると感じた。

 

PD12Jはさらに、すべてのDAの性質と範囲の決定に続いて、裁判所はそれが専門家による安全リスク評価によって支援されるかどうかを検討しなければならないし、もしそうなら、そのような評価が行われるように指示を出さなければならないと述べる(注121)。控訴裁判所は、DAが認定されたほとんどすべての場合に、専門家のリスク評価は、子どもへの継続的なリスクを理解するために不可欠である可能性が高いことを明らかにした(注122)。不十分なリスク評価に基づく決定は、子どもが死亡または重傷を負った事件および大人の家庭内殺人における突出した要因であると安全保護措置レビューおよび家庭内殺人レビューによって指摘されている(注123)。

 

事実認定の聴取が行われなかった、または主張が立証されなかった多くの事件で、回答者はリスク評価が行われなかったと報告した。これはもう一つの実務での当事者主義的障壁の例である。裁判所が、主張された虐待は関連性がないか、発生しなかったという認識に基づいて進行する間、認定がないからといってリスクがないわけではないからこれは問題と見なされた。回答者は、彼らとその子どもたちは、裁判所の認定・非認定に関係なく、リスクの中にいたことを実際に経験している。リスク評価がないことで、彼らの声が聞かれていない、信じられていないという感覚が増幅し、裁判所によってなされた命令がそのリスクに対処しないことを意味した(9〜10章に詳述のように)。Cafcassはまた、裁判所が限られた事実の認定のみを行った場合にこれが問題となると述べた。:

 

いくつかの事実は認められたが、他の事実は認められてない場合、Cafcassの事後調査では、認定が[難しい]場合がある。裁判所は女性の経験とは異なる事実を認定したわけなので、評価の観点から私たちの手は縛られているようなものだ。スコットスケジュールはこの難しさを増しうる。私はこれを回避する方法があると思うし、私たちはこのプロセスを通じて被害者を支援する方法を探すことで、裁判所が知りたいのはどのような種類の情報かを知る必要がある。Cafcass、実務家円卓会議

 

しかし、事実認定を通じて確立された虐待に関してさえ、複数の回答者は、リスク評価プロセスは不十分であると考えた(注124)。回答者は、裁判所がリスク評価を完全に無視し、単に監視付きコンタクトを命令した例を提供した。他の回答者は、彼らがコンタクトの可能性を最大化するために、リスクは矮小化する多くの方法を記述した。これらに含まれるものは:

•子どもに対する継続的なリスクを評価するが、非虐待親に対する継続的なリスクは評価しない;

•潜在的な将来の危害を考慮せずに現在のリスクのみ評価;

• 1人の子どもに関するリスクが他の子どもとの関係で考慮されない;。

•非虐待親へのリスクが考慮されていない。子どもへのリスクとしても考慮されない;

•リスク評価の過程で子どもとの協議はない。

 

したがって、プロコンタクトカルチャーはリスク評価のプロセスに影響を与えるように思われる。回答は、裁判所とCafcass / Cafcass ウェールズが、虐待的と認定された親を、彼らに子どもへのリスクはない、または少なくとも直接(理想的には監視されていない)コンタクトを避けるに十分なリスクを提示していないと評価しがちであるとの全体的な印象を与えた。いくつかの事件で、Cafcass / Cafcass ウェールズのリスクに関する評価と推奨した事項に、裁判官が従わず、虐待的な親のリスクが低いか全くないと独自の評価をし、コンタクトをするように命じた。

 

命令が安全で将来の危害から保護するものであることを確保するために、将来のリスクを効果的に評価するには、時間と専門知識の両方が必要である。しかし、この要素もリソースの制限の影響を受ける(注125)。リスク評価は通常、セクション7レポートの一部としてCafcass / Cafcass ウェールズ職員によって行われる。複数の組織(NagalroとPSUを含む)は、Cafcassがリスク評価を実施するための十分なリソースを持っていないことを回答した。

 

これらの回答者は、Cafcassの職員はリスク評価するための十分な訓練を受けておらず、家族の状況を調査するのに十分な時間がとれない、セクション7のレポートのリスク評価は簡潔すぎて表面的であり、DAが子どもと非虐待親に及ぼす影響を適切に特定または対応していないと考えた。

 

「私は、危害のリスクの微妙な評価を伴うDAの種類についての異なる見解を見ることはめったになかった。そのため、相互のDA、カップルの暴力、威圧的支配的暴力のいずれもがしばしば同じような子の処遇命令に帰着した―その命令のなかには、進行中の暴力行為のために子どもを危害の危険にさらす可能性があるものや、十分に良い親との関係の減少によって子どもを危害の危険にさらしうるものもあった。」      心理学者、エビデンスの照会

 

Cafcassおよび地方自治体のソーシャルワーカーによるリスク評価の作成の大幅な遅れについても懸念があった。

 

Cafcass / Cafcass ウェールズまたは地方自治体によるリスク評価の代替になるものの十分に活用されていないオプションは、裁判所がDAの専門家証人からの報告を求めることである。この業務を行っている一握りの評判の良い機関(たとえば、DVIP、PAI)がある。一部の回答者は、威圧的支配による危害のリスクを評価するには専門家の証拠が必要であると主張した―しかし、これは費用がかかり資金源が限られている。回答は、専門家によるDAのリスク評価は、法律扶助では無理であり、訴訟当事者はまた、そのような評価にお金を払う余裕がない可能性があると述べた。回答者は一般的に、当事者が薬物とアルコール検査や精神医学または心理的評価を行う余裕がないこと、および他の方法でこれらのコストをカバーするためのリソースの不足についてコメントした。

 

 

7.7 PD12Jプロセスに関する一般的な問題

回答は最終的に、PD12Jプロセス全体に一般的にあてはまるいくつかの問題を特定した。これらは、司法の継続性、本人訴訟と法律扶助、および私法上の子どもの事件と他の手続との不連続性に関連している。

 

7.7.1司法の継続性

私法上の事件のために司法のかける時間が制限されており、家庭裁判所のパートタイム司法(治安判事、DDJs、レコーダー(Recorders))への依存は、子の処遇の事件(注126)で司法の継続性の“目的”を達成するのが非常に難しい場合があることを意味する。特に<Tier1>では、治安判事の同じベンチまたは同じベンチチェア前にすべての聴取をスケジュールすることが不可能な場合があり、そして継続性の唯一の形態はリーガルアドバイザーに頼っているようだ。PD12Jは、事件における事実認定聴取とその後の聴取の間の司法の継続性の重要性を特に強調しているが、これにより遅延が発生し、(遅れによる)子どもの福祉への不利益が、公正な審理手続の不利益(司法の継続性の欠如から)を上回る場合に広範な例外が許容されている(注127)。裁判官が事実認定の聴取の後に身事件を留保しても、事実認定前の継続性に欠けていた場合もある。これは、DA事件のベストプラクティスとされる、エンド・ツー・エンドの司法監視、前後の手続の継続性、あるいは「一人の裁判官に一家族」というモデルからはほど遠い(注128)。

 

親たちからのエビデンスは一貫して司法の継続性の欠如を反映していた。これにより、法廷の誰も彼らの事件を深く理解していないという感覚に帰着した(注129)。これはまた、当事者は、次の聴取出席時に誰を、そして何が起こるのか予期するのかわからなかったということを意味する。ある母親は「子どもを引き離されるという絶え間ない脅迫以外、私の全ての法廷訪問について一貫性は何も見られなかった。」と言った。加えて、虐待の被害者は、彼らの話を繰り返すこと、何度も虐待のトラウマを追体験することを強いられたと感じ、そして裁判所の手続に関連して加害者による虐待的な行動は一貫して特定または対処されなかった。たとえば、この母親は2017年から2019年までの2年間私法上の子どもの手続にいた:

 

私の元パートナーは有罪判決を受けている…[私に対する]殴打による暴行の刑事裁判で。彼は接近禁止命令を持っていたが、すべてに違反した。虐待禁止と同じ― 7回違反し、7回目で有罪判決を受けました!家庭裁判所では彼が裁判を取下げた後に再開したため、私は自ら証明し、2年間裁判所の手続に費やさなければならなかった。私は最終的に法律扶助が認められるまで1年間自己代理しなければならなかった。

 

私のウィメンズエイド[サポーター]は治安判事裁判所への入室を拒否された…私の元パートナーが口頭で私と裁判官を虐待し、そして非常に攻撃的で、セキュリティが以前に呼ばれていたにもかかわらず!どうやら彼らは私の履歴を全く読まずに決めた。それは必要なかった。

 

ほとんどの聴取は完全に異なる裁判官または治安判事であったため、継続性やより深い事件の理解はなかった。

裁判所の手続のために、私は何度も何度も思い出を追体験し、見知らぬ人に物事を説明しなければなりませんでした。母親、エビデンスの照会

 

対照的に、司法の継続性がある場合、裁判官は時間の経過とともに虐待者の行動に慣れ、彼の正体を見抜いたと母親はコメントした。個人の回答で引用されたグッドプラクティスの例には、多くの場合、裁判官は、事件について理解し、個人的な責任を負い、彼ら自身で将来の聴取を予約し、その結果、大変素晴らしい対応の一貫性と信頼性を提供した状況が含まれた。たとえば、この母親は2015年から19年までの4年半にわたる3件の長引く手続に耐え、2つのセクション91(14)命令と多額の費用負担命令(a large cost order)が彼女に有利に出された:

 

[場所1]に引っ越して以来、私たちの裁判官は地区裁判官[名前]です。彼は[場所1]の家庭裁判所が閉鎖されたとき私たちの事件を維持し、[場所2]までその事件を持っていきました。非常に複雑で、困難で、もっともらしく、操作的な私の元夫に対処しながら、何度も彼に直面しなければならなかったにもかかわらず、彼は大変すばらしかった。母親、エビデンスの照会

 

一方で、我々は、司法の継続性の潜在的なマイナス面のエビデンスを受け取った。母親と父親の両方が、彼らに決して公正な聴取を受けられないと感じさせる方法で事件を扱い、偏見を感じさせた裁判官の存在を語った。

 

 

 

7.7.2本人訴訟および法律扶助へのアクセス

第4章で述べたように、多くの個人の回答は、家庭裁判所で自己代理しようとすることの大きな困難を反映している。訴訟当事者によって報告された経験は、聞いてもらえない、無視される、サポートがない、いじめられている、裁判所のプロセスをフォローできない、そして相手の弁護士と彼らの間の力の不平等を鋭く意識したという認識を含んでいた。PD12Jの文脈では、母親と父親の両方が、相手の弁護士がそれを望んでいない時は、訴訟当事者が事実認定聴取をするよう裁判所を説得することはほぼ不可能だとコメントした。

 

専門家の回答者は、本人訴訟においてPD12Jを実施する際の課題についてより一般的にコメントした。

 

「私たちの経験では、裁判所が実務指針に従い、できるだけ早く(分割聴取として)事実認定聴取を実施し、最終決定を出す前にリスク評価を実施し、両親が法的に代理される場合、実務指針12Jが有効です。ただし、ほとんどの当事者は本人訴訟で、裁判所に適切にまたは公正に事件を進行させうる形で、立証や反証することができない。私たちは、LASPOによる法律扶助の削減によって、大人の当事者の法的代理は欠如し、結果として子どもたちがリスクにさらされることに直接つながったと考えている。このことは、裁判所がこのように非常にセンシティブでしばしば困難な手続を管理する上で大きな課題となっていると私たちは考えている。なぜなら、本人訴訟の場合、裁判所を現実的に支援するには限界があるからだ。」子どものための法律家協会(Association of Lawyers for Chilren・初出)

 

PD12Jを本人訴訟で実施する際に特定された明確な問題は下記を含む:

•事実認定の聴取が必要かどうかを見極めること―事実認定の聴取が必要ではないことを期待して押しつけ、できるだけ早くコンタクトアレンジメントを実施しようとする裁判所の傾向について回答者が言及している。

• 訴訟当事者に事実認定の複雑で技術的なプロセスに対処する能力がないこと―陳述書、回答書、反論、スコットスケジュール、証人の手配、第三者開示を含む―そして相手方に代理人がいる場合著しく不利になる

•警察の記録開示を受けるのに要する費用を支払う能力が当事者にないこと

•本人訴訟のbundlesを作るための裁判所スタッフの時間の不足(注130)

•裁判所が事実を決定する証拠の質が「[訴訟当事者]がどのように事件を提示し、プロセスによってどれほど脅迫されているか」によって左右される(司法円卓会議)。

 

Mosacは、子どもが他方の親による性的虐待を明らかにし、しかし法律扶助の許可のために求められる‘客観的な’証拠の欠如した親の、非常に困難な立場を述べた。これらの親は、法的代理人なしに、子どもを法的手続で保護しようとする全責任を負い、そしてしばしば自身がDAの被害者でもあるため、耐え難いレベルのストレスと恐怖に帰着する。

 

専門家はまた、DAの加害を主張された者の法律扶助へのアクセスを否定することの悪影響についてコメントした。実務家円卓会議は、法的代理人が利用できないことにより、加害者とされる者が、彼らの行動を認め、洞察を得、助けを借りるサポートを受けるよりもむしろ、虐待を否定し、子どもとのコンタクトを得るために戦わなければならないと感じ、訴訟の道を突き進むと指摘。司法円卓会議の参加者は、虐待の被害者及び加害者が法的代理人を得ることが裁判所にもたらす利益を計量化するよう求めた:

 

「[郡]の数字を見ると、年間900件の申請があります…そして…3分の2がDAの問題を抱えていたとしても、それは驚くべきことではありません。年間にすれば600件のDAの事件です。事実認定聴取がある場合…それが2日間のリストである場合、それは1200地区裁判官日です。[裁判所の場所]にある地区裁判官の全数よりも多く…まあ、ほぼ[郡]全体!…自動的にDAで告訴されまたは対象とされている人々に弁護士を与えれば、それらの数字を非常に簡単に半分にすることができます。司法円卓会議

 

全体として、裁判所および法律扶助のリソースの制限により、コストは親と子にシフトされる。私たちは、訴訟手続が訴訟当事者に直接与える大きな感情的、物理的および経済的影響、家庭裁判所との遭遇によって引き起こされた彼らの個人的資源の壊滅的な枯渇を詳述する多くの回答を受け取った。

 

7.7.3サイロワーキング

最後に、回答は、家庭裁判所と他の裁判所、手続、機関との間の連携が取れていないことが、DAの主張やその他の危害のリスクに対処する方法に影響を与えているとの指摘もあった。

 

地方自治体の子ども保護ソーシャルワーカーが家庭裁判所での公法手続に精通している、一方で、彼らは私法手続には精通していないという一般的な懸念がある。したがって、たとえば、彼らはCAPまたはPD12Jを認識しない傾向があり、どのように事実認定聴取を推奨するかを知らず、DAのリスク評価を実施する必要なトレーニングを受けていない。これらの問題は、ソーシャルワークのインプットが、Cafcass / Cafcass ウェールズではなく地方自治体によって裁判所に提供される場合に発生する。

 

多くの回答は、事実認定プロセスと他のプロセスとの間の断絶を指摘した。これらが含まれる:

•虐待禁止命令が出されており、さらなる虐待から被害者と子どもを効果的に保護している場合、虐待は家庭裁判所によって「過去のもの」と位置付けられ、したがって、子の処遇手続には関係ないものとされる

•虐待の被害者は、警察、CPS、証人サービスによるサポートのある刑事司法システムと、同じ虐待を確立するすべての負担が被害者の肩にかかる家庭裁判所との間に混乱した対比を経験する。

•刑事上の有罪判決は家庭裁判所で再裁判されうる

•刑事裁判所で有罪を認めた虐待者は、虐待を否定し、被害者が家庭裁判所でそれを証明することを主張しうる

•刑事手続で虐待が合理的な疑いを超えて以前に証明されたという事実は、家庭裁判所で無視される可能性があり、虐待者は効果的に再裁判が与えられ、被害者が信じられていないという気持ちを強化する事実

•家庭裁判所での事実認定が犯罪捜査と手続が並行して行われている場合:

•警察の調査が未完了なため、事実認定聴取のための裏付けとなる情報を提供できない

•犯罪捜査の詳細が家裁の手続で加害者に公開され、刑事事件へのダメージ、およびいずれかの法廷への司法アクセスの回避となる

•家庭裁判所のリスク評価プロセスでは、指標や、MARACs、接近禁止命令、虐待禁止命令違反、以前のおよびその後のパートナーに対するDAの証拠、DV開示スキームによる暴力の履歴開示、および子どもの性的虐待に対する有罪判決後保護観察官によって実施されるリスク評価のような他で行われたリスク評価を考慮に入れていない

 

次の回答の要約は、家庭裁判所と刑事管轄権の間の調整不足の問題の多くを要約する:

 

回答の概要

母親の元夫は、彼女へのレイプと子ども虐待の罪で投獄された。刑事裁判所は彼を危険な男だと述べたが、彼女は「家庭裁判所は子どもたちに会いたいという彼の要望に応えようと必死になったようだ。」と感じた。彼の判決から、彼女は家庭裁判所のプロセスが簡単にいくと思ったが、彼は5年以上訴訟を延長することに成功し、彼女には法的費用として50,000ポンドを超える負担がかかった。法廷では、彼女は自動的に遮蔽を与えられず、毎回頼まなければなりませんでした。彼女は、「家庭裁判所の聴取の多くは私がレイプ裁判で証拠を提出した同じ刑事裁判所でなされました。私はこのため目に見えて震えていましたが、裁判システムの誰も気にもとめないようでした。」彼女はまた、警察や刑事裁判所へ彼女の元夫がもたらすリスクの説明の照会がないことを懸念した。彼女は、「2つの裁判所が実際にある程度結合された考慮をし、情報共有をした場合、家庭裁判所の聴取の多くは必要はなかった。」と感じた。彼女はまた、彼女の元夫が「中産階級で雄弁」であるため、何人かの裁判官からより多くの余裕を与えられたと感じた。「裁判官たちが彼の見た目や言うことからして、私がそれほどの被害者になりえないと考えたのだと思います–しかし…彼らが警察のファイルにアクセスしたなら、私が本当にどれほど脆弱であるかをすぐに理解したでしょう。」彼女は「刑事裁判所と家庭裁判所の合理化について考えてほしい–それは本当に役に立ちます。2つがリンクされたら、被害者としての私たちはこれらのことを2回経験する必要はありません。」と結論付けました。母親、エビデンスの照会

 

逆に、Mosacは、刑事裁判で子ども虐待の有罪判決がなかった場合、刑事訴訟および民事訴訟における証明の基準が異なるにもかかわらず、家庭裁判所は、虐待が発生しなかったと判断する可能性が最も高いと指摘した。これは、サイロワーキングとプロコンタクトカルチャーの間の相互作用をあらわす。サイロワーキングのすべての事例は、虐待的だと主張される親に有利に働き、コンタクト実施を可能にするような結果をもたらす。対照的に、より結合されたアプローチは虐待を最小限に抑える可能性が低く、子どもや大人の被害者をさらなる危害から保護する可能性が高い。

 

7.8結論

委員会が受け取ったエビデンスは、複数の問題と実務指針12Jが実務で実施される方法に対する不満の原因を特定した。この中には、親の関与の推定の影響、DAの主張がどのような場合に関連性があると見なされるか、事実認定聴取の実施、リスク評価の質、司法の継続性の欠如、事実認定プロセスと他の手続との間の調整の欠如、本人訴訟当事者がPD12Jの複雑さを乗り越えるために経験する困難などの懸念が含まれていた。これらの問題の多くは第4章で概説されている4つのテーマに関連している。裁判所のプロコンタクトカルチャー、限られたリソース、当事者主義的なシステム、サイロワーキング。これらの同じ障壁はPD12Jを強化するためのこれまでの取り組みを妨げているようだ。

 

いくつかの回答とフォーカスグループの回答は、微調整(fine-tuning)または微調整(tweaking)では特定された問題を解決できず、根本的な障壁に対処するため代替的な家事司法のモデルを検討することと、改革のためのより基本的なアプローチを取る必要があることを示唆した。委員会は同意する。第11章では、子の処遇事件の新しいモデルを提唱し、これらの障壁に包括的に対処するさらなる提案をする。これには、家庭裁判所によるDAおよびその他の子どもへの危害のリスクへの事後対応ではなく事前対応、当事者主義的アプローチではなく調査的アプローチ、刑事司法プロセス、警察、家族と協力する法定および第三セクターのサービスとの調整の改善、より効果的な活動方法へのリソースの向けなおしが含まれる。

 

【注】

(106)M Coy et al, Picking up the Pieces: Domestic Violence and Child Contact (2012); R Hunter and A Barnett, Fact-finding Hearings and the Implementation of the President’  s Practice Direction: Residence and Contact Orders: Domestic Violence and Harm (2013); A Barnett (2014) ‘Contact at all costs? Domestic violence and children’s welfare’, Child and Family Law Quarterly 26: 439–62; A Barnett (2015) ‘“Like gold dust these days”: Domestic violence fact-finding hearings in child contact cases’, Feminist Legal Studies 23: 47–78; M Harding and A Newnham, How do County Courts Share the Care of Children Between Parents? Full Report (2015); Women’s Aid Federation of England,  Nineteen Child Homicides (2016); J Birchall and S Choudhry, What About My Right Not to be Abused? Domestic Abuse, Human Rights and the Family Courts (2018); R Hunter, A Barnett and F Kaganas (2018) ‘Introduction: Contact and domestic abuse’, Journal of Social Welfare and Family Law 40(4): 401–25; J Harwood, Child Arrangements Orders (Contact) and Domestic Abuse – an Exploration of the Law and Practice (PhD thesis, Warwick University, 2019); 文献レビューセクション9を参照

(107)2017年改正以降実施された調査 M Lefevre and J Damman, Practice Direction 12J: What is the Experience of Lawyers Working in Private Law Children Cases? (2020), Sussexの 実務家とIDASの調査に基づく, Domestic Abuse and the Family Courts (2020), based on surveys, フォーカスグループ、被害者/サバイバーとのワークショップ、裁判所とCafcassを含むサポートワーカー、サービス提供者の調査に基づく。

(108)F Kaganas(2018)‘Parental involvement: A discretionary presumption’,Legal Studies    38:549–70;文献レビューセクション7.1。

(109)PD12J、パラ9。

(110)PD12J、パラ14。

(111)事件ファイルの調査は、事実認定の聴取が事件の10%未満で実施されたことを一貫して明らかにした:J Hunt and A McLeod、Outcomes of Applications to Court for Contact Orders after Parental Separation or Divorce(2008)、M Harding and A Newnham、How do County Courts Share the Care of Children Between Parents? Full Report(2015)、Cafcass&Women's Aid Federation England 、Allegations of domestic abuse in child contact cases(2017); 文献レビューセクション9.4。

(112)この問題に関する2017年以前の調査で見つかった同様の理由については、文献レビューのセクション9.5も参照。

(113)DVIPによって提供されるDAPPは、参加者が自分の行動に責任を持つことに焦点を合わせている。すべてのDAPPsがこの焦点を共有しているわけではない。異なるプロバイダーからDAPPsを受けた別のフォーカスグループの父親はこの認識がなかった。

(114)文献レビューセクション9.8も参照

(115)PD12J、パラ19(c)。

(116)PD12J、パラ19(d)。

(117)文献レビューセクション9.8も参照

(118)Re B(子ども)(Care Proceedings: Standard of Proof) [2008]ホフマン卿によるUKHL 35:「法的規則は事実の証明を求めるなら…裁判官は…それが起こったかどうかを決定しなければならない。それが起こったかもしれないと認める余地はない。法律は、価値が0および1のみであるバイナリシステムとして機能する。事実があったか、ないかのどちらかである。」

(119)Hunter and Barnett, Fact-finding Hearings and the Implementation of the President’s Practice Direction: Residence and Contact Orders: Domestic Violence and Harm(2013)は、この問いに関する調査研究を実施した、そして最近の調査はMLefevre and JDamman、PracticeDirection12Jによっても実施された:What is the Experience of Lawyers Working in Private Law Children Cases?(2020)、しかし事件ファイルの大規模な分析はなかった。文献レビューセクション9.4、9.8を参照。

(120)PD12J、パラ32。

(121)PD12J、パラ33。

(122)Re P [2015] EWCA Civ 466 [30] per King LJ; Re W [2012] EWCA Civ 528 [19] per Black LJ.を参照。

(123)Child Safeguarding Practice Review Panel, Annual Report 2018–2019 (2020); Home Office, Domestic Homicide Reviews: Key Findings from Analysis of Domestic Homicide Reviews (2016).

(124)事実認定後の不適切または存在しないリスク評価の事例は、PD12J事件でいくつかの成功した訴えの対象であった:PD12J判例法のレビューと文献レビューセクション9.9を参照。

(125)文献レビューセクション9.9も参照

(126)FPR 2010実務指針12B、パラ10。

(127)PD12J、パラ20、31。

(128)R Hunter and S Choudhry (2018) ‘Conclusion: International best practices’, Journal of Social Welfare and Family Law 40(4): 548–62を参照。

(129)文献レビューセクション9.14も参照。

(130) バンドルは、裁判に必要なドキュメントの収集である。それらはコンパイルされ、索引付けされ、コピーされ、そして実務指針27Aパラ3.1に従って他の当事者および裁判所に提供される。実務指針は、両当事者が本人訴訟の場合、裁判所が別段の指示をしない限り、バンドル作成をどちらも必要とされないとしている。一部の裁判所では、裁判所の職員は裁判所と両当事者のためにバンドルを準備する。しかし、多くの裁判所はこれを行うためのリソースを欠いており、トライアルバンドルを準備するように一方または両方の当事者に引き続き指示する。

                                                                                                                                       【藤本圭子】
 

 

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