母親を不当に攻撃する片親疎外の蔓延
アメリカでは親権や面会交流の紛争の際に、「片親疎外」が頻繁に注目される。片親疎外に反対する立場のジョージワシントン大学教授のMeierによれば、一般的に片親疎外とは子どもが片親に対して、不自然にその親は危険だとネガティブな感情を抱くことを指す。これは1980年代に小児精神科医ガードナーが提唱した説がベースとなっている。当時、社会問題となった子どもへの性虐待に関してガードナーは、性的虐待の訴えの大方は虚偽で、母親に洗脳された子どもが父から性虐待されたと思い込む「片親疎外症候群」を唱えた。
この理論は科学的に否定されているが、再度形を変え、再び母親が意図的に子どもを父親から遠ざけると非難する場合によく使われている。そして虐待親が「自分は被害者で、子どもが自分を恐れるのは妻が子どもにそう思い込ませた」と反論する時に強力な武器として悪用されている。(加害を被害に見せかけて立場を逆転させる戦略はDARVOと呼ばれているが、このテーマは別のブログに書く)。
この武器によって子どもを守る母親が悪者扱いされ、裁判所から親権を剥奪される、子どもとの接触を制限されることまで起きている...
子どもをファミリーバイオレンスから守る法
米国のNPO法人Center for Judicial Excellenceによると、2008年から2024年4月までに、少なくとも985人の子どもが離婚や別離する親によって殺害されたという。なぜ離婚や別離する親によって子どもが殺害されるのか、その動機は一般的には理解されていないだろう。しかし、この問題に深い理解を持つ被害者や支援団体は、ドメスティックアビューズと別離後の子どもへの被害が終わらないことを常に指摘してきた。その努力が実を結び、2022年版女性に対する暴力禁止法(VAWA)に、女性だけでなく子どもをファミリーバイオレンスから守る法律が盛り込まれた。この法律は、父親から面会交流中に殺されたペンシルバニア州の7歳の女児ケイデンの名を冠して「ケイデン法」と呼ばれている。
ケイデンとは
ケイデン父は親密な関係を利用したDVの他にも、赤の他人に対して傷害事件を起こすほど危険人物だった。ケイデン母は離別に巻き込まれた娘に矛先が向けられることを恐れ、親子面会交流には監視が必要だと家庭裁判所に訴え続けた。家裁の親権専門調査官までもがケイデン父の精神状態の危うさを指摘したが、裁判官は父親の希望を尊重し、ま...
バイデン政権は前政権で通らなかった女性に対する暴力禁止法(VAWA)を2022年に再承認し、念願のKeeping Children Safe from Family Violence、略して、ケイデンの法を作りました。これは全米の家庭裁判所の危機を終わらせるための最優先課題の一つです。
ケイデンとはペンシルバニア州で実父から面会交流中に殺された7歳の女の子の名前なのです。California Protective Parents Associationはケイデンの母はケイデンの父親が酷く暴力的だったことから家庭裁判所に父子面会は危険だと訴えていたことを報告しています。しかし、家庭裁判所ではその訴えは聞き入れてもらえず、ケイデンは監視なしで父親と面会しなくてはなりませんでした。2018年、ケイデンの父はケイデンの母への報復メモを残し、ケイデンをダンベルで殴り殺し、自分も自殺しました。ケイデンの母はこのひどい逆境に負けず、ケイデンの死は防ぐことができたと家庭裁判所改革に乗り出しました。
残念なことに、このようなケースは例外ではありません。実のところアメリカでは毎年58,000人以上の子どもたちが家庭裁判所から虐待親と暮らせ、面会しろと裁判所から命令されています(Silberg, 2008)。そのため、...
UK司法省報告
英国司法省 / 2020年6月
面会交流等離別後の子の養育に関する裁判の評価報告書
~子どもと親の安全・安心の観点から~
最終報告書
訳:離婚後の養育法制研究会
英国司法省 / 2020年6月
面会交流等離別後の子の養育に関する裁判の評価報告書
~子どもと親の安全・安心の観点から~
最終報告書
訳:離婚後の養育法制研究会
Assessing Risk of Harm to Children and Parents in
Private Law Children Cases
Final Report
Assessing risk of harm to children and parents in private law children cases - GOV.UK (www.gov.uk)
目次 (Contents)
要旨 (Executive Summary:3)
第1章 共同代表によるイントロダクション(Introduction from the joint chairs:13)
第2章 委員会における作業の進め方について(2. How the panel went about its work:15)
第3章 法的枠組(3. The Legal Framework:25)
第4章 ドメスティック・アビューズ(DA)その他の危害リスクを扱う難しさ
(4. Challenges in addressing domesticabuse and other risks of harm:39)
第5章 DAの主張と立証(5. Raising and evidencing domestic abuse:48)
第6章 子どもの声(Children’s voices)(6. Children’s voices:67)
第7章 申立への対応方法(7. How allegations are dealt w...
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