UK司法省報告

第10章 裁判所の命令により生じる危害

 

10.1 イントロダクション

 

 

情報提供の照会に対する回答において、回答者らは委員会に対し、裁判所によるコンタクトに関する命令によるDAに関する経験等、検討すべき重要なエビデンスを委員会に提供した。虐待を行う親が別居後の子及び元配偶者に与える継続的な影響に関しては(注163)相当数の研究があるが、裁判所によるコンタクト命令について従前からある研究の大半が、規模(範囲)の小さいケーススタディーの形式をとるものであり(注164)、裁判所における手続及び命令において虐待する父に殺害された子に関する事例といったものを含むようなものであった(注165)。委員会が情報提供の照会に対する回答で得たエビデンスは、そういった研究結果に実質的に付加されるものであり、そのため、本章では前章における各事例よりも、回答及び得られた結果からより広範囲に引用を行うものとする。回答者らは、家庭裁判所における命令が、子及びDAの被害者に対する継続的な虐待及び支配を可能ならしめることを報告した。また、回答者らは、裁判所の命令及び継続的な虐待の結果として、子及び成人の被害者らが負う、長期的な身体的、精神的、感情的及び経済的な害悪、子らの学習に関する害悪及び子らの親子兄弟姉妹及び広い意味での家族関係並びに子らの将来の関係に対する害悪についても回答を行った。

 

裁判所の命令に関する(回答者らが委員会に対しなした)回答には、父と母とで一般化することができる違いが存在した。母らは、子の安全に対する強いレベルの不安を表明した。母親らの多くが、自身の子らが家庭裁判所に行くことで子らの状態が悪化することを感じ、また、母親ら自身が、裁判所の手続後の自身の状況について、無力感、怒り、苦悩、絶望感、救いようのなさの中にあることを表明している。父らからの回答はあまり詳細な内容ではなく、父らに対しなされた裁判所の命令の結果ないし実効性についてフォーカスするものであった。父らは、一般的に、裁判所の命令を実施した結果、子に虐待がなされること、子の安全又は子が虐待されるような環境に陥ること示すことに対する懸念を示すことは少なく、子が母親と同居する又は母親とコンタクトを行った結果子に生じる害悪に関する事実についても、回答としての提供されることは少なかった(注166)。

 

 

 

10.2 コンタクト命令を通じた虐待の継続

 

母親らは、コンタクト命令による継続的な虐待、支配及び苦しみについて極めて多くの回答を行った。何人かの母親は、家庭裁判所での手続の後に虐待が悪化し、子がより重大な危険にさらされている事態を憂慮している点につき回答した。母親や子が、裁判所が命令した虐待であると受け止めており、(同人らが)まさにその虐待の対象とされているのだ、ということが一貫して繰り返し述べられている。

 

「裁判所は虐待者に私たちへの虐待を続けることを許しただけではなく、過去3年間私たちが受けた虐待に積極的に関与したのです。」

母親、エビデンスの照会

「私は、コンタクトの間、悪い方向に置かれた子でした。父は暴力的な人間であることは初めから分かっていましたが、父は、私には7年間、私の兄弟にはそれ以上にコンタクトの機会を与えられ、私が父と最後にコンタクトを行ったときは、私の父が私にパンチを見舞ったときでした。7年間、私は、父を訪問した際に、父に殴られた父のガールフレンドや、父の新しい妻にたくさんの傷跡があったこと、私の母を殺したいんだという強迫やどうやって母から金を巻き上げるかという言動を見ました。これは全て虐待です。私は、毎週末や学校が休みのときに、父と会うことをとても恐れていた子でした。」

児童虐待の被害者、エビデンスの照会

 

多くの母親は、子と自らを虐待から守るため、父との関係から逃れたのに、家庭裁判所は、(逃れたことで得た)保護を破壊ないし弱体化しただけであったと説明している。裁判所で下される命令の結果、母親らはしばしば、自らや子の安全を確保する方法も、逃げる手段もないことに気づき、かつ、恐怖の中で生活することとなった。

 

「今(心理的、物理的及び経済的な)虐待が、私の2人の末っ子に起きようとしています、これは家庭裁判所が子らに一晩中監督の無いコンタクトを望んでいるからです。元夫はこの(命令の)仕組みを、私をコントロールするために利用しています。別居してから3年経ちますが、私は恐怖の中で彼が次に何をしてくるのかを待ち構えて暮らしています。」母親、エビデンスの照会

 

これらの回答は、虐待が第三者に報告されたら現状が好転するという被虐待者の期待が、事態がむしろ悪化するという現実によって否定されることをみてきた実務家が確認している。

 

情報提供の照会に回答した多くの母親らは、虐待者とのコンタクトや同居の際に、直接的な虐待があったことを述べた。そのような母親らや母親らに協力する専門家は、裁判所、Cafcassウェールズ、警察及び子のソーシャルケア機関が、コンタクトの際に母親や子に生じた、重大な物理的、性的、心理的な虐待に関する説明を含む虐待に関する懸念等に対処することを拒み、そしてコンタクトは実施されなければならず、コンタクトを実施しない虐待の被害者を非難していると報告する。

 

「元夫が私の知らないところで息子を虐待していたことが判明しました。彼は私に虐待した後に、私のもとを去りました。彼が彼の父親を伴って面会した際、息子を虐待していたのです。私はこれを報告し、警察に伝えました。私の息子は今日まで何があったかを話すことができません。息子は学校でインタビューを受けましたが、何もなされませんでした。元夫は私を威圧し、学校のクラブや私の職場、自宅に出没します。私は性的な嫌がらせを受けないようにも求めました。警察は裁判所の命令があるから手出しできないと言ったのです。」サバイバーフォーカスグループ参加者

 

「最近、私の娘が、父がどのように私の娘を虐待してきたか、CAFCASSに伝え、弁護士にも伝えました―ソーシャルサービスは、これは家庭裁判所の問題だからといい調査しないつもりです。実は―私の娘が(虐待を伝えた)翌週、彼らは娘に父との同室を強いたのです。娘は駐車場で泣き叫び、そのまま泣き震え、部屋に入りませんでした…子からの明確な証拠や(事情の)開示があるにもかかわらず、私が何とかして行おうとしていることを、CAFCASSは片親引離しになると考えているのです。        サバイバーフォーカスグループ参加者

 

母親らは、(彼女らが)虐待がなされるようなコンタクトへの懸念を提起すると、それが虚偽であり子を引離すものと非難され、子はそのようなことはないと伝えられ、虐待する親に送り返されたと述べた。母親らからは、子が虐待するような親と一緒にいる間ずっと、恐怖を感じているという多数の説明が提供された。

 

「私たちの子は、裁判所の命令により、2週間に6時間、監督なしで虐待した者と過ごすことになっています。6時間はとても大きなダメージを引き起こしうるものです。虐待者(父)と別居したのは子が2歳の時でしたが、裁判所は彼に虐待を再開させたのです…この6時間、子どもが大丈夫か、加害者が最寄りの空港に向かっていないのではないか本当に不安です。私たちの子は、彼が英国に滞在するためのチケットのようになっているのがわかるでしょう。」

母親、エビデンスの照会

 

子に対する直接の虐待と同様に、母親らは、コンタクト命令に関連して、彼女ら自身に対する継続的な虐待の経験を回答した。我々は、虐待者が、子を人質のように使い、母親らに対し強制的な支配を継続的に行使したのだという多くの説明を受け取った。

 

「虐待する親は、虐待される側の親に対して用いるための情報について、子に対し絶えず質問し、裁判所に提供できるような事情にコントロールできるようにするのです。虐待される側の親に近づき、さらに虐待する親と一緒にいないときでもさらに虐待される親を支配するために、子は虐待する親により人質のように利用されるのです。虐待された者は、虐待者のせいで、新しい関係を継続し難いと感じます、しかし実際にそのような関係を持ち、サポートをするときに虐待する親は子に対し、これを用いてますます多くの質問をして、そのような情報を得ようとするのです。子はよい状況下にはありません…これが、私が自身の健康も踏まえ娘を諦めた理由であり、私は、虐待する者が私に近づくために娘に対し何をするのかを考えざるを得ませんでした。」   母親、エビデンスの照会

 

Refuge(虐待被害者を支援するNGO)は、虐待者が子に対し電話やタブレットを与え、これらが子や母親の動きを追跡するために追跡アプリがインストールされたものであることが判明したという事例を提供した。同居親はまた、コンタクトに対する子の反応にも対処を余儀なくされることになる。

 

 「子らは(養育)放棄され、歯も磨かせず、入浴もさせず、食事も与えられないか不十分であり、睡眠も定時でなく中断され(虐待する親とのコンタクト中に)、家に帰ると、疲れ、自暴自棄になり、操られ、虐待(精神的な者者含む)され、フラストレーションとなり母に激しくあたります。父は、母が不適格だと非難するのですが、彼(父)が隠れた原因です。」

家庭内暴力関係のワーカー、エビデンスの照会

 

子の主たる世話を行う親に対する虐待により、その親の精神状態やその親の子のニーズに焦点をあて対応するような能力に影響が生じるような場合、その子は、直接的にも間接的にもDAの影響を受ける可能性がある(注167)。

 

「自分のいるコミュニティ内で嘘を言われて、深刻な精神的苦痛に苦しみました…また、そのような私に対する嘘の結果、私は重いPTSDになりました。裁判所は片親引離しには関心がありませんでした。引離しにあたる行動は、2011年も、2017年もCAFCASSによって特定されませんでした。子たちは、学校で苦しみ、生活は非常に困難です…今18歳になる上の息子と私は、10歳の時から疎遠になり、息子が虐待的な物言いやヘイトスピーチに小さいころから晒されたことによる私たちの関係への影響は壊滅的なものでした。裁判所は、(子に)疎んじられ、精神的にも感情的にも虐待するような親によって引き起こされた容赦ない苦痛により、私が深刻な心身の故障に至った結果最終的に里親監護となった下の息子への影響を認識することができませんでした…私は過保護な親と見做されていますが、私は過保護な親ではありません。私は2人の子を、私を子らと生活から確実に消そうと決めたもう一人の親から守るために苦労した養育親です。」              母親、エビデンスの照会

 

何件かの回答結果は、子らが父親と暮らす又は同居するという(内容の)命令が、(同居しない側である)母親への経済的虐待をどう永続させる効果を有したかを述べるものであった。福利厚生と養育費に関する規則に従い命じられる命令は、母親が受ける収入を減少させ、又は母親が父親に対し養育費の支払いを要するといった結果をもたらした。専門家の回答者は、虐待の疑いのある親に(子の)居住先を移す命令は、従前同居していた虐待していない親の子に関する利益・給付を失わせ、いくつかのケースは(虐待していない親)がホームレスになるような結果を生じさせ得るものであることを確認している。

 

 「2016年、私はシングルマザーとして苦労していて、娘たちの課外活動の支出を負担できないでいたころ、彼(娘の父)はぜいたくな休日や高価品を得る余裕があったので、適切な養育費の支払を求めました。私の養育費の請求への仕返しとして、娘たちの父は、娘らと(全体の)半分の間同居をするための裁判手続を始めました。私は、それに対する主たる懸念の原因として、DA(の問題を)挙げたのです。CAFCASSは…50:50の監護を実施することを勧めました。私はほかの選択もできず、やむを得ず50:50の養育分担のコンセント命令に署名しました。署名したその日、娘たちの父は、歳入関税庁)に連絡し、今(父自身の方が母よりも)娘の養育を多くやっているので、私の代わりに児童手当を受給し税額控除受けるべきだと言いました。…児童手当と税額控除は、12週間の間受けられませんでした。これらの給付を誰が法的に得るべきかが確認されている間、支払いは完全に停止されてしまったのです。この間、最早私は自分の財政的な支払責任を満たすことができず、クレジットカードの請求も支払えなくなり、債務救済命令(訳者注:Debt Relief  Order、通常12か月内の期間に生じた債務を免除する命令で、資格のある債務アドバイザーを介し申し立てる。)を取得しなければなりませんでした。」     母親、エビデンスの照会

 

母親らや専門家からの回答のうちいつかのものは、虐待の被害者が虐待者からより安全な場所へ移動することを妨げることになる、プロヒビテッドステップ命令(訳者注:一方の親が子と特定の活動や旅行、居住場所や出国を妨げる内容の裁判所の命令)に言及するものであった。逆に、虐待者が何マイルも移動して離れたことで、子のコンタクトのために、虐待被害者に長距離の運転を強いたという報告も存在した。

 

 「父は、父と母が90マイル(訳者注:約145キロ)離れていたので、中間地点での引渡しを求めていました。父母が別居した際に父が引っ越したことから、私たちは(子自身と母)はいつもこの問題と対峙しなければなりませんでした。母は私と同居していましたが、私が(そのことで)弱っていたことはよく知られており、子どもが(車に)乗っていることを気にしない道路利用者や彼ら(父母と子)が常に安全とは限りません。しかし父は自分の思い通りにしたのです。」                        虐待被害者の姉又は妹、エビデンスの照会

 

回答から分かる一つの重要なテーマは、裁判所の命令によるコンタクトの影響というものが、DAの被害者を、彼らの子が自分で決定できるに十分な年齢になるまでの間、虐待者との関係の中に追い込むものであったということである。(虐待の)被害者は、家庭裁判所の手続が虐待加害者にさらに権限を与え強化し、支配を強めたと感じていた。被害者の見解においては、加害者は、被害者にさらなる危害を加ええるために裁判所の手続を利用することができる、ということを見出していたのである。

 

「裁判所がしたのは、私の夫に力を与えることだけでした。家庭裁判所での手続後、今夫はとても強い力を持っています。既に彼は深刻な暴力の加害者でしたが、今はさらに強力です。5月にあって最終のヒアリング以降、私には絶え間なくこのようなメッセージを受けています。『どうやってお前から全て奪うのか見ておけ』『どうお前を破壊したかを見ておけ、お前には何も残らない』」

サバイバーフォーカスグループ参加者、情報照会の提供より

 

BAME(訳者注:Black、 Asian、 and minority Ethnicの略)のフォーカスグループにいる母親は、裁判所に行った際に、裁判官が自分の話を聞いてくれているという実感が全くなく、裁判官の力を恐れていたと回答した。彼女は、自分が(虐待の)犠牲者であったとしても、助けを求めている人を怖がらせることは正しいことではないと考えている。彼女は夫を恐れて生きてきたが、今は法律も同じように恐れて生きているのである。

 

何名かの母親は、回答において、(母親らが)虐待者と一緒にいる方がより安全であろうと結論づけた。何故ならば、その方が子を(虐待者から)守る機会がより得られ、子が虐待者と一緒に放置されないようにすることが確保できるからである。

 

同様に、Mosac (訳者注:1992年にロンドンで設立された、性的虐待を受けた子の親(虐待していない側の親)や監護者の支援を行う団体(Mothers of sexual abused children)は、彼らが支援している多くの親が、その親の家庭裁判所で体験したことの結果として、(その親が)子どもの性的虐待を再び当局に報告することはしないと言うのだ、と語る。サウソールブラックシスターズ(訳者注:1979年にロンドンで設立された黒人及びマイノリティの女性人権団体)は、被虐待者は、「家庭裁判所のシステム及び家庭裁判所が被虐待者や子らを危害から守る能力があるのかという点に対する深刻な不信感」を伝えるものだと述べる。他の専門家らは、むしろリスクのある裁判所の手続や裁判所が課す命令よりも子をより保護できるからという理由で、コンタクトの取決めに同意した母親や、DAのリスクが高い状況での生活に戻った母親の例を挙げた。



 

 

10.3 コンタクトに対する抵抗及びコンタクトを強制することの害悪

 

委員会は、子らがコンタクトが行われる見込みに非常に苦しんでおり、それを避けるためにあらゆることを試みているという多くの報告を受けた。

 

 「コンタクトをしなくてもいいように、必死になってベッドの下に隠れたり、部屋に鍵をかけたり、専門の監督下にありながら道路に飛び出したり、自傷したりする子、学校に行くことを拒否した子、激しい腹痛により虫垂炎の疑いで病院に運ばれたものの、ただ泣くだけで感情的な愁訴だった子、引きこもる子、「安全な」親に固執し、ふるまいが幼児退行化する子、怖がっている親について聞かれると緊張し無言になる子、ほかの子らと付き合うことをやめて定期的に悪夢を見る子らの事例が、私にはあります。

離婚及び家庭内暴力の専門家、エビデンスの照会

 

しかしながら、我々に対する回答者らは、高い頻度で、コンタクト実施の可能性に対する恐怖やコンタクト中の害悪についての報告にも関わらず、子らは子らが望まないコンタクトをするよう命じられ、母親らは子らにそのようなコンタクトを強いることを求められることもまた、指摘した。

 

10.3.1 コンタクトを強いられた子らの経験

 

多くの母親らが、子らが虐待をする親とのコンタクトを強いられることのへの不安を表明した。

「12歳のとき私の息子は発言を許されず、私は息子を父のもとへ行かせなければならず、息子はそのことで私を憎んでいました。就学状況は下り坂で、息子は学校から飛び出してしまっていました。息子は父親に傷つけられていたのですが、私は息子を行かせ続けなくてはなりませんでした。あるときまで、息子はベッドで裸になり、(コンタクトに)行くために私が息子の服を着させなければならないんだと言っていたのです。」               母親、エビデンスの照会

 

幼少期におけるDAの被害者からのエビデンスは、コンタクトを強いられた体験が類似することを語るものである。

 

「私は幸運にも、自分のPTSDによって、青少年精神保健サービス(訳者注:The Child and Adolescent Mental Health Services、国民健康サービス機関の一つ)のもとに来ました。このことで、私が7歳ころから続きていた望まない父とのコンタクトから救われたのです。弟は3歳下なのですがそれほど幸運ではなく、私たちの父と日中コンタクトをしなければなりませんでした―CAFCASSの女性が現れ、面会に行った後、弟は涙を流して悲鳴を上げ、嵌められたと感じていました。私の弟は、父親に会いたくないと主張したにもかかわらず、隔週末で面会を実施させられました。」 幼少期におけるDAの被害者、エビデンスの照会

 

回答は、強制的なコンタクトが、子らに対しいくつかの重大な結果をもたらすことを明らかにした。第一に、子らが安全だと感じない状況下においてコンタクトを強いることは有害であるということである。

 

「子らの精神的健康は、子らを身体的精神的に傷つけ、子らが行くことを望んでいない者と会うことを子らに強いることで、非常に損なわれます。私の子どもは、父と会うことに関連する、コンタクトの場所をとても怖がっていました。」SafeLives(訳者注:英国のDAに関する慈善団体)の調査回答者

 

ある実務家円卓会議の代理人は、裁判官がCAFCASS職員に対し、間接的なコンタクトを推奨するセクション7報告から、コンタクトセンターにおける監督下でのコンタクトに変更するよう説得した最近の事例について述べた。

 

「〔その母親は〕子らを連れて行き始めました。初回の日に、上の子は車から降りることができず、子らは行きたくないので蹴ったり叫んだりします。最終的には母親が子らを連れて行きます。次回の面会のために、母親は事前に連絡し、これ(コンタクト)ができると思えないと(CAFCASSに)言います。CAFCASSの女性は、『子らに(母)とどこかに行くと思わせて、騙してセンターに連れてきてください』と言うのです。そうして、母は激しく泣き叫ぶ子らと(センターに)到着し、家に連れて帰るのです。上の子は全てのことが完全にトラウマになり、今やうまくいかないことを全て母親のせいにしています…私は全てのことを明らかにするため、裁判所に再申請を行う必要があります、しかし、裁判所とCAFCASSが行ったことのせいで、子らが社会福祉サービスの関与を必要とするくらいトラウマを抱えているような状況に等しく、これは完全に惨事なのです。」

弁護士、実務家円卓会議より

 

第二に、既に引用したものが示唆するように、子らが(大人が)耳を貸さないと感じたり、子らの強く示された意見を無視したりすることは、有害であり、子らの力を削ぐものであるということである。

 

「私の子はチルドレンズサービス(訳者注:Children’s Services、子どもの保護のための公的機関)から、監視の無いコンタクトや泊りでの滞在に行くのを拒否しなくなるまで、子を養護施設に入れる、転居して父親と住ませる、母親と二度と会えないと言われていました。当時娘はあかるい10歳の子でした。私たちは共にトラウマで精神的に苦しみ、私の子は睡眠に問題を抱えていました。私の子は心理的に虐待され続けていたのです。」母親、エビデンスの照会

 

第三に、CLOCK(訳者注:The Community Legal Outreach Collaboration Keele、大学、法律事務所、住宅協会、市民相談室やDV・性的暴行の支援団体等が共同する団体)は、子らが困惑するメッセージを受けたことにつき回答を行った:一方で彼ら(子ら)は、虐待的な行動を認識し報告することの重要性を教わるが、他方で彼ら(子ら)は当局の職員などから、一方の親からの虐待的な行動を我慢しろと言われるのである。有害なことであるが、子らは子らが感じる恐怖や苦痛を無視するよう勧められるか、慣れるように言われるのである。この母親は、コンタクトを可能にするため(行動の)変化を求められたのは(子の)父ではなく、むしろ子であると述べる;

 

「確かに、6歳の子の意思に反して、子が信用せず、傷つけるようなことを言ったりしたりし、委縮させたり、取るに足らずない存在だと感じさせたり、不安にさせたりするうえ、話も聞かず、排他的で育児放棄し、無視し、養育せず、怖がらせ、孤立させ落ち込ませるような人の下へ行かせることは健康的なことではありません、それが例え自分の親であってもです。そういった父の行動を変えてくれるよう働く人による実際のサポートがないと、子と毎年いるだけで父親の行動は変わることはないでしょう。私は、裁判所とCAFCASSが、子どもの願望や感情親の関与よりも重要でないという信念、それ故に私の子を生涯にわたる傷を負わせたと思っており、それ故に父親の行動を変えたり、関係を改善したりするためのサポートなくコンタクトを強いたことが、私の子を生涯にわたり傷つけたのだと思います。」

母親、エビデンスの照会

 

最後に、特に懸念されることとして、子らは、子らの虐待の影響から回復する際の主要なよりどころになる、子らを保護する(側の)親の支援を奪われているということである。多くの回答から認められるように、コンタクトの結果(内容)を進展させることができなかった母親に対する脅迫は、子らがコンタクト中に恐怖を覚えたり虐待を受けたりしたとしても、子らが誰とも話せないという結果をもたらすのである。子らは思い切って自分の母らにコンタクト中におこったことを話すことができないことがあり、これは、(子がそれを話すと)母の「不可解な敵意」又は「片親引離し」を示すものとして裁判所において利用されうるためである。その結果、コンタクトを通じて継続的な虐待を受ける子らは、孤立していくことになる。

 

「ええ、彼女〔母〕は私をとてもサポートしてくれました、しかしあのような状況では、サポートするのは難しいと思います、何故なら子をコントロールしたんだと非難されるからです。そして、それは5年間続きました。ですから私はその5年間頼る人がいなかったのです。何故なら家族にも頼ることができなかったのですからです、なぜなら…それはよくないことで、裁判所での私の最善の利益でもありませんした。5年間、私は常に一人でした。」

FJYPBのフォーカスグループ参加者

 「一番信用できる人が自分の父や母かもしれないのに、全部を無効にされてしまうことから(父や母に)話せないというのも大変で、そう、とても大変なことです。母から『何が欲しいの?』と言ったことで母がトラブルに巻き込まれたことが一度あったことから、母に何も言えませんでした。しかし、本当に母は『何が欲しいの?』という意味で言っており、それを(紙に)書き上げたのです。」

FJYPBのフォーカスグループ参加者

 

回答からは、さらに、子どもの孤立や支援を奪われるという事態は、苦痛やトラウマになるコンタクトを経験した子らが利用できるようなメンタルヘルスやカウンセリングのサポートが欠けていることにより、悪化していることが述べられた。これは、リソースの限界とサービス不足が原因である可能性あるが、裁判所が介入した結果ということもありうる。

 

「私の子は、地域の女性援助機関による、子や特に母が虐待から回復するためのグループプログラムに通っていました。私のケースでは、裁判官は、そういったグループは子に対し子が虐待を受けたことを教えたり、子の悪い言行を生じさせたりするらしいと言い、そして、そういったグループに参加していなければ子ら自身が被害者であることも知らないだろうと言って、グループへの参加を止めたのです。」         サバイバーフォーカスグループ参加者より

 

逆にMosacはこのように述べている:「最近Mosacに対し報告された2つのケースでは、家庭裁判所は、子らが継続的に虐待を受けているにもかかわらず、子に対し、子が虐待されていないことを理解させるための治療を受けるようにという命令を下した。」上記のとおり、子らはコンタクトへの拒否を克服する変化が期待されているようであるが、他方で子らの虐待からの回復には同程度のサポートがあるとは言えない。

 

委員会には、よりサポートの受けられるような実務の例がいくつか提供された。

「私は(最終的に)私元夫の私たちに対する支配を理解した裁判官から、裁判所の命令において驚くべき発言受けました。その発言とは、子らが行きたくない(虐待のエピソードの後に安全でないと感じた)時には子らを保護すること、そうすれば、彼(父)とのコンタクトの時間にそれ(保護)がなされる以上、法律上父のもとに行かなくてよい、というものでした。この発言は、『母がコンタクトをサポートしている間は、子らの希望や感情は考慮されなければならない』という発言に沿ったものでした(訳者注:つまり、コンタクト時に子が母に対し、父とのコンタクトに行きたくないという意向を示すと、実際の父とのコンタクトの時間においても、母がコンタクトをサポートしている状態となり、その間は子の意向が考慮されなければならないので、父とのコンタクトの時間であっても、行かないことが同コンタクト命令に反するものではないことになる。)。何人かの警察官は、何という素晴らしい裁判所での命令での発言であり、もっとこのような発言が裁判所での命令でなされてほしいと私に言いました。その裁判官は私に対し、裁判所の命令に関する発言を息子らに伝えるよう言いました―裁判官は2人の子に子の発言で力を与えてくれました。そうしてくれたのです。それは私たちにとって本当にかけがえのないものであり、子らが長期的に安定して自分自身を形成することが可能になったのです。」母親、エビデンスの照会

 

10.3.2 母親によるコンタクトに対する抵抗

 

父親からの回答の多くは、(子らと)同居する母親らがコンタクトを完全にコントロールしたこと、(母親らが)コンタクト命令に違反したが処罰されていないこと及び家庭裁判所がコンタクト命令を執行するのに十分な力を有していないことに対する不満であった。

 

「子どもについての取り決めの命令は、母親らに対して執行しないのですから、どのように紙に書いてもその価値がないのです。執行が適切に執行される場合はたった0.8パーセントです。…母親らは命令を無視して(子を)引離すよりも、コンタクトを促進すべきです」       父親、エビデンスの照会

 

しかしながら、コンタクトを執行する事例についての執行日に関する唯一の研究(注168)においては、「不可解に敵対的な母親」はケース中のごく少数(4パーセント)しか現れず、他方、ケースの約3分の1は、DAや児童虐待に関する現在の危険または安全に問題があるものであることが判明した。これらのケースでは、命令が安全でないことからコンタクトは奏功していない。また、この研究においては、裁判所が、リスクのあるケースのほぼ半分を、相互の紛争及び不可解な敵意を伴うものと「誤解」し、その結果、安全確保の問題を不適切に管理、介入し、さらに安全を欠く命令をもたらしたことも判明した。この研究では、これらの結果が裁判所における、プロコンタクトカルチャーに起因するとする。

 

「片親引離し」という反論(counter-allegations)は、虐待被害者が家庭裁判所においてDAの主張を提起ないし追求することを妨げ得る要素となりうることを第5章において、また、子らの声を取り上げ奪う手段となりうることを第6章において述べた。上述のいくつかの引用に見られるように、「不可解な敵意」又は「片親引離し」という告発は、母親らがコンタクトを促進させたり安全上の懸念からこれを停止したりすることを困難にする状況、又は子供がコンタクトを拒否し、拒否について(子の)母親が責められるような状況を生じさせ得るものである。これらは、広範囲の回答及びいくつかのフォーカスグループに反映されていた。

 

委員会は、一部の同居親が、子らを非同居親とコンタクトさせることに反対する可能性があることを認めるものであるが、片親引離しの主張とDAとの強い関連性(注169)や、研究によるエビデンス(注170)及び回答のウェイトからは、片親引離し(されている)という告発は、しばしば子らを保護し、より安全なコンタクトの取り決めを実現しようとするDAの被害者を脅したり非難したりすることに用いられる、ということを示唆するものである。

 

相当数の母らが、(子の)コンタクトを促進させないと子を父と同居させるという脅威に言及した。これらはさらなる虐待の形態として彼らが体験したものである。

 

「虐待者が何をするだろうかという恐怖だけではなく、最終的にはさらに害を生じさせることがわかっていても命令に従わないと(虐待)被害者が子の監護を失ってしまうというリスクが、膨大なストレス、プレッシャーそして恐怖を引き起こすのです。」    母親、エビデンスの照会

 

いくつかのケースでは、母親らは、虐待的な父が子どもと引離されたと感じたことを理由に、(子の)居住先が虐待的な父へ移され、子らに対し保護やサポートを提供することができなくなったことを述べた。

 

「私が8歳になる子を最後に見たとき、息子は私に『お母さん、お母さんがいなくて淋しくて、怒ってる。』と言いました。ソーシャルワーカーはそのようなことは記録されていないと言いました。その前にあった、子が6歳のときのコンタクトでは息子は私に『お母さんいつまた一緒の家族になるの?』と言っていました。息子は沈んで(メルトダウン)してしまい、コンタクトにかかわるワーカーは息子が『お母さん、お母さんと一緒に家に帰りたい』と言ったのを目撃しました。そして私が言えることは…私の合意によれば…裁判所で何が起きているかについて息子らに話すことは許されていないのです。私は、息子らに家に帰ってきてほしいと言うことも許されていません…ですから私は子らを安心させてあげることができず、いつも家に帰ってこれるよう子らのために戦っていると言うこともできません。何故彼らは母と子との関係、コンタクトを促進させないのでしょうか?私には未だ親責任(parental responsibility)がありますが、何の意味もありません。」        サバイバーのフォーカスグループ参加者

 

委員会により受け取られたエビデンスは、母親らに落ち度があると認識された場合、DAを行った父親らよりも母親らの方がより否定的にみなされ、また行動の変化を求められやすいということを示唆している。同エビデンスはまた、プロコンタクトカルチャーの中で、裁判所は過度にDAを過小化又は無視、「不可解な敵意」または「引離し」母親というステレオタイプを受け入れる傾向があることを示唆している。母親と父親に適用されるこのような明らかなダブルスタンダードは、幼少期におけるDAの被害者により、否応なしに述べられるのである。

 

「当時の手続における子として、当時の記憶と成人して事件記録に全てアクセスできるようになったことから話をすると、私は、子を守ろうとする母親らを中傷・脅迫し、父らがどんなに虐待的で害のある者であっても、父らの権利や役割を高く評価してすべての人やことを排除するような、家庭裁判所の深刻な女性蔑視(ミソジニー)唖然としています。これ(女性蔑視)がなくなるまでは、女性や子ら両方への危害は危険かつ深刻なままです。」

幼少期におけるDAの被害者、エビデンスの照会

 

10.3.3 虐待的なコンタクトによる長期的影響

裁判所の命令によるコンタクトによる子らの長期的影響に関する回答者の報告は、概ね別居後の虐待親とのコンタクトによる子らへの長期的な影響に関する文献と一致する(注171)。それらはまた、有害な幼少期の経験(adverse childhood experiences (ACEs))の長期的な影響に関するより広範な文献とも一致する(注172)。加えて、回答は、裁判所が命令したコンタクトが成人の虐待被害者へもたらし続ける影響への洞察や、家庭裁判所の手続及び命令が子や成人の被害者がトラウマからの回復可能性を積極的に害しうることを提供した。

 

10.3.4 回復の妨げとなること

回答からは、子や成人の虐待被害者が家庭裁判所の手続中サポートや治療サービスへのアクセスを妨げられたという種々の態様が報告された。いくつかのケースでは、虐待者はこれらを妨げるためにプロヒビテッドステップ命令(親責任の一時停止命令)を取得した。他のケースでは、裁判所自身がサポートに関するリソースに制限を設けた。例えばCARA(訳者注:Centre for Action on Rape and Abuse、性的虐待や児童虐待に対するサポート団体で、1989年に設立されたColchester Rape Crisis Lineを母体とする団体)は、性的虐待を開示した子に対し、家庭裁判所の手続係属中の間、専門家のサポートや治療を受けてはならないとする(裁判所の)命令を報告した。彼らがこの問題を関連する指定家庭裁判所裁判官に提起した際、そのような命令はグッドプラクティスガイダンス(注173)に従ってなされたことを告知されていた。これは、『子が性的虐待を受けたかどうかの問題は裁判所により決定され、その問題に対して管理、カウンセリング、治療を他の機関が行うことは、裁判官の判断まで待つことが必要的である。』と述べるものである(CARAからの回答)。しかしながら、CARAは、このガイダンスが、現在の刑事司法における考え方や、子の犠牲者とされる者への治療の提供に関する規定である検察庁のガイダンスと大きくかけ離れたものであると述べた(注174)。

 

子が専門家によるサポートにアクセスできるとする規定は、性的虐待に関連する刑事司法の手続に組み込まれており、同規定は、証明がなされていない性的虐待の問題と矛盾しているとされていません。家庭裁判所がこの種の支援を拒否することは、子がトラウマ的な体験から改善することを妨げる可能性があります。遊戯療法(訳者注:穏やかに行われ子が主導し、性的虐待への直接的な言及を伴わないもの)を否定することも、12歳未満の子のための性的虐待に対するサービスの運営方法について重大な誤解の存在を示すものです。CARA

 

親の被害者は、家庭裁判所での手続が係属している間、支援サービスやカウンセリングにアクセスできないために、依然として虐待の状況下で(再び)生活することになったとを述べた。

 

 「SARC(Sexual Assault Referral Centre、訳者注:性的犯罪につき相談することのできる機関で、同機関への相談は、警察への相談・報告をしていなくても受け付けられる。)は、彼らがカウンセリングに関わる前に、我々が家庭裁判所サイド(での手続)から外れなければならないと言います。裁判所にとっては素晴らしいことなのでしょうが、支援へのアクセスが遅れました。一体いつ家庭裁判所の手続から外れるのでしょうか」サバイバーフォーカスグループの参加者

 「私は今、PTSD及び解離性障害と診断され、ノイローゼでもあり、これらは全て彼が家庭裁判所の手続を開始した以降に生じています。そして、私はメンタルヘルスチーム下にあるのですが、家庭裁判所の手続が終わるまで治療を開始しないことから、彼は未だ私を虐待することを許されていると言えます。」

母親、情報提供の紹介より

 

回答からは、一度最終的な命令が下されると、虐待を行う親との継続的なコンタクトが、いかに子及び親の虐待被害者に対する被害回復のプロセスを開始することの妨げになるかの説明が提供された。そして、彼ら(被害者)は、虐待のリスクに対処するために、サバイバルモード(訳者注:中断なく、延々と難易度の課題に対処しなければならない状況が長期にわたることであり、元々はTVゲームの用語である。)下に残ることを余儀なくされるのである。

 

「我々のアドボカシーと支援活動に最も共通する側面の一つは、大抵、虐待者に有利な居住/コンタクト命令が命じられるといった子に関する私法上の手続による感情的な落ち込みに対処しなければならないということです。我々は女性の生活再建や回復過程を支援するというよりもむしろ、子に関する取り決めに関する命令の結果、被害を受けた女性や子を継続して支援していかなければならないことに気づきました。我々は、集中的な支援とカウンセリングを提供するだけではなく、そのような命令がなされたことにより増大するリスクに対処する女性を支援してかなければならないのです。」サウソールブラックシスターズ

 

10.3.5 子に長期間にわたり生じる害悪

回答からは、裁判所が虐待する親らとのコンタクトを命令したことに起因して、子が被った害悪に関する多くの詳細かつ不安を生じさせるような説明が提供された。委員会は、回答者が述べた被害の規模及び深刻さを正当化することは困難であることを認識するものである。我々に対しては、子らが身体的な障害、性的虐待及び感情的に踏み荒らされてしまった複数の経験;摂食障害、睡眠障害、夜驚症、おねしょ、腹痛、心配、不安、過覚醒、怒り、行動に関する問題、自己の過小評価、ADHD、OCD、PTSD、複雑なPTSD、及びうつ病が述べられた。加えて、回答からは、子らの学校での学習に影響が及び、子らが学習障害となり学校から排除されている経験が語られた。子らが自傷行為を行う多くの子の事例や、何人かの子らは自殺を試み、さらにひどいケースでは自殺をする子らの事例も報告された。

 

「〔監督なしでのコンタクトを行う命令が下された後〕子はすぐに暴力的になり、おねしょをするようになり、食事を拒み夜驚症を発症しました…。私の子は裁判所が12J(訳者注:Practice direction(前出)の12J)に従うことを拒否し、子を守ることを拒否したために深刻な被害を受けました。」

母親、エビデンスの照会

 「私の一番上の娘は慢性的な腹痛を発症し、恐れていたコンタクトのある週の間は嘔吐をしていました。一番下の娘は、完全に諦めてしまい、2人の子が私に何度も何度も(一番下の娘が)虐待されていると言っても、何も文句を言わなかったのです、ですから問題にならず、だれもケアせず、耳を傾けることもありません…一番下の子は、成人男性と同じ部屋に長時間いるのを恐れていました。学校は、娘が男性教師の授業を受ける際の反応をとても心配していました。娘がとてもヒステリックになるためです。」母親、エビデンスの照会

 「私はPTSDを発症し、それがとてもストレスでした…私の姉妹の不安はひどくなり、学校をやめてしまいました。」

子ども期におけるDAの被害者、エビデンスの照会

 

多くの回答は、子らがCAMHS(注175)を紹介してもらう、又は利用する必要性があることを述べるものであった。これらの回答は、しばし利用可能なソースの不足及びトラウマを抱えた子らの適切な治療の確保の困難さを懸念するものであったが、家庭裁判所の命令に起因する害悪の永続化は、CAMHSに対し大きなコストを生じさせたことを示唆するものである。

 

子らの身体的精神的な健康に与える影響に加え、回答からは、コンタクトを通じ、子らが経験した継続的虐待により、子らの関係性も破壊するということが認められた。例えば、虐待父らが、子らを自分の母親から引離し、不適切なロールモデルにさらし、健全な関係性と不健全な関係性との違いを理解しないまま成長したというものである。一部の子らについては、父親の行動をそのまま反映することになり、支配し、虐待し、暴力のサイクルを継続し、虐待をする男性としての成人という関係性を形成していると述べられた。

 

「私の息子は、裁判所の命令したコンタクトを通じて成長し、父親のようになることを体得しました。息子は私に対し虐待的(物理的、言語的に)になり、下の兄弟姉妹は家に住むことができなくなりました。裁判所は息子を父親と住むようにしたのです!私は息子が支援を得るまで里親養育を検討するよう求めました。とにかく、私は息子が将来のパートナーや(息子の)子らにDVをするのではないかと思うのです。彼は支配的で、搾取的で虐待的です。裁判所が命令を下したDV犯罪者の父親とのコンタクトにより、子は壊されてしまったのです。」                母親、エビデンスの照会

 「確かに虐待のある環境で育ったと思います。そういった虐待的な環境に身をおいたとき、それが普通のことだったので自分は他の人のように早くそれに気づくことができませんでした…なので、これでいいのだと。そしてそういった環境から最終的に離れたとき、私は神様!またこんなことが起きるなんて信じられないという状況でした。」FJYPBのフォーカスグループの参加者より

 

母親らへの虐待を続けるべく父らによって搾取された子らは、子ら自身が愛されず、利用され、孤独を感じていると述べた。家庭裁判所により虐待する親とのコンタクトを余儀なくされた子らは、一生にわたる無力感について述べた。

子どもの頃私は食事、睡眠、トイレ、そして不安について深刻な問題を抱えていました。10代になり、成人しても、権威的な人物をとても恐れていました。なぜなら、そういった人は、私の意思に反して私が絶対にしたくないことを強いてくるように思えたからです。第2に、そういった人が私を罰すると考えていたからです。また、私は腎臓と不安の問題も継続して抱えていました。私は社会システムや司法システムに対し全く信頼がありません。」

                   子ども期におけるDAの被害者、エビデンスの照会

 

10.3.6 成人の被害者に対する長期的な害悪

成人の虐待被害者は、同様に、長期にわたるDAとトラウマの影響を抱えて生活しており、それらは裁判所の手続及び裁判所の命令により可能となった継続的な虐待によって強化・永続化されたという悲惨な説明を行った。これらの影響には、長期・慢性的な健康状態(の悪化)及び障害、PTSD並びにノイローゼが含まれる。

 

「裁判官は元夫のDVの罪を認めましたが、私自身が私への虐待の当事者であると言いました。どの組織においても、私たちが被害者であることを知っており、私はまた虐待されたように感じました。現在私は不安とPTSDに苦しんでおり、もう誰も信用できません。」     母親、エビデンスの照会

「〔裁判所は〕子を保護するのに時間をかけ過ぎ、耳を貸さず、裁判所が手続とガイドラインを守らないことで私たちは野蛮で屈辱的で時に非人道的な行為に従わされた結果、1人の成人と2人の子供がPTSD、不安や虐待の長期的な精神治療を受けるような何年にもわたるトラウマを引き起こしました。…子らと私は何年にもわたり直接の虐待や裁判所のシステムを通じた間接的な虐待を受け、また、脅迫や恐怖の武器として利用されているのです。」

父親、エビデンスの照会

 

何名かの母親らは、どのように仕事を失い、家を失い、訴訟費用のために巨額の負債を抱え、貧困に陥り、ホームレスになったかについて述べた。また、何名かは、子らが虐待者と同居するよう命令されたことによる子の苦痛に苦しんでいた:その一部は公法上の(子ども保護)手続の対象となった。

 

「彼(夫)が話し合いに応じないために、彼が私を継続的に出廷させることになるのを裁判所はやめさせませんでした。そして私はノイローゼになり、仕事をやめなければなりませんでした。私は、『反応性うつ病』と診断され、彼が虐待するのを知っていたにもかかわらず、最終的に一番下の娘を諦めなければなりませんでした。これは(虐待を)証明できなかったからです…私には多くの負債が残り、家を売却してその負債の大半を弁済しなくてはなりませんでした。私にはまだ5000ポンドの負債があり、負債管理機関の下で支払いを続けています。」              母親、エビデンスの照会

 

一部の父親らもまた、彼らの子と会うことを妨げられた結果生じたうつ病や、不安、自殺願望といった苦痛を述べた。

 

不必要で不適切なコンタクトの取り決めは、離れている親(非同居親)に対してまさに重大な心理的な害悪を与えます…私の息子は愛する両親のかわりに、他人の養育ケアのもとで時間を費やしたのです。」   父親、エビデンスの照会

 

ある回答者は、母親の妨害に直面し、父が子との関係を維持しようと試みていることを説明した上で、次のように述べた:

 

「これが父親に与える影響はトラウマ(traumatic)でした。彼は落ち込んだように見え、自殺願望を示し、不正義と子に対する悪影響に怒っていました。この怒りは叫びとなって現れます。無力感を感じ、自分の子らを失うことや子らへの影響、子らの将来がどうなるかについて恐れ、彼(父)が(子らを)見捨ててしまうのではないかと確信する日があります。」父親の家族、エビデンスの照会

 

親からの反応は、家庭裁判所により子を保護する側の親をサポートすることも、虐待をする親に対し定着した行動パターンを変化させるよう勧めサポートすることも実質的に失敗しているということを反映している。

 

一部の母親らは、最終的に家庭裁判所にそのような結論がない場合、虐待を行った父親は新しいパートナーや子らに同じように虐待をしているということを述べた。これらの回答は、現在手続の対象となっていない子らや成人の被害者の安全に対する懸念、同様にコンタクトのために訪問し、再び目撃することで悪化するDAを経験する子らへの懸念を提起する<

 

 10.4 コンタクトを行わないことによる長期的な影響

子らに関する私法上の命令に起因する害悪に関するエビデンス資料等の照会に加えて、エビデンスの照会においては、DAを行う親又は子や他方の親に対し重大な犯罪行為を行った親と、子らとの間で関係を持たないことによる、子らへの害悪のリスクについても照会を行った(注176)。

 

我々は、父らから子が自分の父やその親族、時には兄弟姉妹から子が引き離されることによる害悪についてのエビデンス資料の提供を受けた。これらの害悪は、確立された関係の喪失、家族のつながりの喪失、子どものアイデンティティの一部の喪失という点から述べられた。

 

「〔私の娘は〕以前とても強い関係を持っていた私側の家族全てとのコンタクトを断たれていました。これは娘にとってひどい時期であり、起こったことの全ては未だ分かっていません。娘は〔物理的なもの〕を浴びせられまましたが、娘は自分自身が(何かを)決定する際に信じるような本当のことを失ってしまったのです。…私の娘は自分のアイデンティティを失いました。娘が言うことすること全てについて、母親を通さないとならないのです。」父親、エビデンスの照会

 

子どものための法律家協会は、虐待する親と関係を持つことの害悪に関するエビデンス資料等はよく知られている一方で、彼らが『被害者とされる親が、虐待する親とのライフストーリーワーク(訳者注:life story work、 子に過去や現在将来を認識させるようにソーシャルワーカー等が情報提供を行うこと)を提供することが困難だと判断している場合に、子が親と会わないことで(子らが)アイデンティティを欠くというリスクがある』と考えたとしても『子らと虐待する親とが関係を持たないことによる害悪に関するエビデンスはそれほど明らかになっていない』という点につき回答した。以下はNagalroの見解である:

 

「(これに対する)答えは、虐待する親が子に害悪を与える可能性のある(自身の)行動をいかに認識し、受け入れ、改善したかによって異なります。これには時間もリソースも必要ですが、多くの場合親子間の安全な関係につながるものです。これが達成できる場合、子に対しては最も被害が少なく最良の結果となります…(虐待者に)子や虐待をしない親に対し危害が生じた、又は生じる可能性があるという認識がないようなケースでは、間接的なコンタクトを命じるオーダーは子の福祉が最大の考慮事項だとしなければならないことを単に反映しているだけにすぎません。」Nagalro

 

第9章で述べたように、間接的なコンタクト、子に対し父や父の家族に関する情報が提供されるライフストーリーワーク及びアイデンティティコンタクト(訳者注:子に対し別居親等の情報を提供するこ)は全て、子への害悪の可能性を最小限に抑えながら子と虐待する親との関係を維持するために用いられるメカニズムである。

 

「私たちは、年4回の独立したソーシャルワーカーの監督下でのコンタクトとアイデンティティコンタクトという結果を得るために、別途、完全な裁判手続を要しました。また、私たちは、娘が16歳になるまで、セクション91.14(訳者注:児童法セクション91.14、命令で名宛人とされた者が、関係する子に対し、同法に係る特定の種類の命令の申請を行わないよう命令することができる旨定めている。)による命令を受けました。彼(父)は(費用を)支払うべき3人のソーシャルワーカーを見つけるように言われましたが、私は娘が父といるときに世話する人を選ぶことができました。私たちはこれを行い、娘は過去1年で4回コンタクトの機会を持ちました。完璧には程遠いですが、娘はそれで落ち着きました。」母親、エビデンスの照会

 

しかしながら、第9章でも述べたように、これらの形式でのコンタクト命令は、私法上の子の事件では頻繁になされず、加害者が継続的に虐待することを防ぐことができない可能性がある。

 

他方で、多くの回答者は、我々がこのような問いを行うことにつき、にわかに信じ難いといった反応を示した。

 

「私たちは子らを、家族法が適用される場合以外のいかなる社会的な状況においても虐待し強制するような大人にさらしません。家族法が適用される場合以外の社会的な状況下で、子らが大人の虐待的又は強制的な行為に繰り返しさらされる場合、これは社会福祉の問題となります。子らが大人の虐待的で強制的な行為にさらされることによる害悪は非常に明白なので、この質問は(質問として)問われる必要がありません。虐待と強制は単に男性がその子と生物的学的な関係を有しているからという理由で問題ないとされるわけではないのです。」幼少期におけるDAの被害者、エビデンスの照会

 

以下の回答者は、虐待する親との関係性を有しないことで生じる苦痛等よりも、本章で詳述した継続的に虐待を経験したことによる深刻な害悪及びトラウマの方がはるかに重大であると考えている。

 

「DAを経験した子らは、成人患者となり我々のトラウマの治療にアクセスすることになり、これは虐待を目的することは、虐待に耐えることと同じくらい有害たりうるきわめて決定的なエビデンスです。子らに虐待者との関係を持つことを強いるのは、完全に誤りです。―しかしながら家庭裁判所では一般的な実務です。…私は、関係を持たないことによる害悪はあるとは考えていません…〔例えば、一方の親がなくなった場合〕子が他方の親により健康かつ幸せに育てることはまったくもってよいことです。そして、虐待する親とコンタクトを強いることはよいことではありません。」      DAの専門家、エビデンスの照会

 「事実、虐待者がよい親になることはできません。裁判所はこれを認識する必要があります。裁判所が有している信念は、子が親との関係を持たないことで子が後に経験するトラウマは、コンタクトを強いることで生じるいかなるトラウマよりも大きいというものです。これは端的に正しくなく、非常に野蛮で子に被害を与えるものです。」     離婚及びDAの実務家、エビデンスの照会

 

家庭内暴力及び家族支援に従事する者からの回答は、子らが落ち着いて愛情を受け、虐待の無い環境でよりよく成長すると考えているものであった。

 

「虐待的で支配的な親が常に子らを含む者との関係を持つことで混乱が係属するような状態よりも、虐待しない親が一貫して日常的にかつ定めを設けて積極的に監護(支援者やコミュニティー、学校も含めて)する方が子にとってよいのです。」              DAに係るワーカー、エビデンスの照会

虐待的な環境から逃れることができた母親らは、ひとたび虐待をする父とのコンタクトがなくなると、大きな安堵をもたらすというエビデンスを(委員会に)提供した。母親らは、子らがどのようにして徐々に回復し、安心・安全感を持ち、健やかに成長することができたかを述べた。

 

「娘は今、彼(父)がいないことで、何を言うにしても輝いています。」

母親、エビデンスの照会

 

コンタクトが一定期間中断された場合においても、母親らは子らが著しく良くなったと述べた―行動もよくなり、より落ち着きを持つようになり、トラウマの症状は緩和された。

 

 「娘に危害を加えていたことから私がコンタクトを止めたことで、娘は父と3か月会いませんでした。その3か月の間、娘は全く違う子になりました。姉妹とも喧嘩せず、私にもより優しく、落ち着きがありましたが、日曜に娘が父に会いに行ったと途端に、月曜にはカウンセリングに行き、(カウンセリング先である)彼らは、父に会った後の娘の行動に違いがあり、より怒りっぽく攻撃的になると言いました。」                母親、エビデンスの照会

 

子どものころに家庭裁判所の手続の当事者となったことがある回答者は、そのうち何件かのケースではストーカー行為や嫌がらせ(ハラスメント)を虐待する父らから受けていたものの、―コンタクトが停止されたときに回復が始まった―と、同様の内容を述べた。

「関係を断った時に、私はよくなり3年後には(繰り返しハラスメントを受け他にもかかわらず)より健康的に幸せに虐待しない親と一緒に過ごしています。」

子ども期におけるDAの経験者、エビデンスの照会

「小学校(primary school)のころ、私は酷い子でした…そこからよくなったのは、もはや父親と一緒に住まなくなったという事実があるからです。そのような環境から離れ、8か月か1年くらいで、私は別の子になりました…自由な猫のように、素晴らしかったです。」     FJYPBのフォーカスグループの参加者

「私は9歳のころから父とコンタクトしていませんし、それでさらに気分を悪くすることもありません。どちらかと言えば(そのほうが)もっと気分はいいです。何かとても恐ろしいことから解放されており、私は子らを親の一人から引き離し、関係の促進を行わないことが常に子らにとって感情的、精神的に有害であると考えるのは必ずしもフェアではないと考えます。私のケースでは、それ(関係を断つこと)が私を非常に恐ろしいことから救ったのです。」

FJYPBのフォーカスグループの参加者

 

10.5 結論

 

本章で報告されたエビデンスは、家庭裁判所が効果的にDAの被害者たる子や成人を、さらなる害悪から効果的に保護していないことを示すものである。これに反し、プロコンタクトカルチャーは、多くの子に関する私法上のケースにおいて、子や、子を保護する側の親を深刻な危害のリスクに置く命令をもたらすものである。安全でなく、虐待がなされ、トラウマになるようなコンタクトの経験は、(虐待)被害者の健全性に長期的かつ広範囲な影響を引き起こすと考えられる。多くの回答者が、そのような害悪は虐待する親との関係を継続する価値よりはるかに上回るものだと感じていた。

 

Nagalroは、継続的に(親と)関係を持つ子への安全と利益は、「虐待する親が子に害を与えるような虐待的な行動をいかによく認識し、受け入れ、改善したかにかかっている。」という重要な点を述べた。

本章で述べられた委員会へのエビデンスは、多くのケースで、虐待する親は虐待的行動について認識し、受け入れ、改善することを求められることなくコンタクトの機会を与えられ、反面、子や虐待しない親は、これ(上記のようなコンタクト)が引き起こす害悪害悪に関係なく、コンタクトやその費用負担することを期待されているのである。これらの(調査により)判明したものは、Ofsted’s joint targeted area inspection reports of children’s social care responses to domestic abuseの結果と同じである:DAを経験した子らはへの累積的影響が十分に認識されていないこと;この安全を保つために、脆弱な成人(虐待)被害者に過度に依存していること;加害者へのフォーカスが不十分であり、彼らの行動を変える必要があることである(注177)。

 

委員会は、家庭裁判所が、虐待に継続的にさらすことから子を保護し、(子を)保護する親の役割を認識・支援し、子や保護する親のトラウマからの回復を可能にし、虐待する親にチャレンジし行動を変化させるためのハードワークに取り掛かれるよう奨励・支援することで、最も子の福祉を促進することができると確信する。これには、裁判所がDAの申立てに対し徹底的に調査・理解しすること、虐待する親の行動の変化を満たすことを求めること、そして被害者の回復をアシストするための命令を下すこと、これらのための強化されたリソースが求められる。

 

委員会はまた、子と同居親が安全でないコンタクト命令下で暮らすことを強いるべきではなく、同居親がこのような状況下で子にコンタクトを強制しないことで脅迫、非難、又は罰せられるべきではないと考える。ある子が裁判所の命令によるコンタクトが安全でないと感じた場合には、命令については再検討され、子の不安に対処すべきである。さらに、委員会は、家庭裁判所の手続における子や成人の虐待被害者ための治療支援、同様に虐待加害者に対する公認の行動変容プログラムのために大きな資金投入をするケースがあると考える。

 

これらの結論は、第11章での委員会による勧告である、子に対する取り決めのケースにおける新しい一連の原則及び手続、DA加害者プログラムのレビュー及び子及び成人のDA被害者に対するサポートサービスのための追加的なリソースに盛り込まれるものである。

 

【注】

(163) 本報告書中、4.2.2参照

(164) E.g. Callaghan et al. (2018) ‘Beyond “witnessing”: Children’s experiences of coercive control in domestic violence and abuse’、 Journal of Interpersonal Violence 33(10): 1551–81; J Fortin、 J Hunt and L Scanlan、 Taking a Longer View of Contact: The Perspectives of Young Adults who Experience Parental Separation in their Youth (2012); S Holt (2015) ‘Post-separation fathering and domestic abuse: Challenges and contradictions’、 Child Abuse Review 24: 210–22; F Morrison、 After Domestic Abuse: Children’s Perspectives on Contact with Fathers (2009)、 F Morrison、 Children’s Views on Contact with Non-Resident Fathers in the Context of Domestic Abuse (2016); R Thiara and A Gill、 Domestic Violence、 Child Contact、 Post-Separation Violence: Experiences of South Asian and African-Caribbean Women and Children (2012). パネルが回答を受けたものは、これらの先行研究の結果を反映したものである。

(165)H Saunders、 Twenty-Nine Child Homicides (2004); Women’s Aid Federation for England、 Nineteen Child Homicides (2016).

(166)父親の何人かは、単に精神的に不安定である母親や、アルコールやドラッグを乱用する母親とのコンタクトに起因する子への害悪を回答において報告した。これらが深刻な保護すべき問題であることは疑いがなく、家庭内での虐待と同時存在する問題であるが、直接的に本報告書の考慮対象ではない。

(167)実務指針(Practice Direction)12J第4パラグラフ、本報告書セクション5.2参照、とりわけC Sturge and D Glaser (2000) ‘Contact and domestic violence – The experts court report’、 Family Law 30: 615–29.

(168)L Trinder et al、 Enforcing Contact Orders: Problem-Solving or Punishment? (2013). また、本報告書セクション10参照。

(169)A Barnett (2020) ‘A genealogy of hostility: Parental alienation in England and Wales’、 Journal of Social Welfare and Family Law 42(1): 18–29.参照

(170)L Trinder et al、 Enforcing Contact Orders: Problem-Solving or Punishment? (2013); articles and references in the special issue of the Journal of Social Welfare and Family Law 42(1) (2020); articles in the special issue of the Journal of Child Custody 16(1)–(2) (2019).参照

(171)本報告書セクション5.3参照

(172)ACEsに関する研究資料に関する有益な議論として、House of Commons Science and Technology Committee、 Evidence-Based Early Years Intervention HC 506 (2018).

(173)指定家庭裁判所裁判官によって引用されたと回答において言及される当該ガイダンスは、Handbook of Best Practice in Children Act Casesの性的虐待調査に関する付属書によるものである。Handbook of Best Practice in Children Act Casesは1997年に子ども法諮問委員会により発行された。委員会は、当該引用された付属書を独自に見い出すことができなかった。

(174)Provision of Therapy for Child Witnesses Prior to a Criminalについては;:  https://www.cps.gov.uk/legal-guidance/therapy-provision-therapy-child-witnesses-prior-criminal-trialhttps://www.cps.gov.uk/legal-guidance/therapy-provision-therapy-child-witnesses-prior-criminal-t

(175)NHS(国民健康サービス)のウェブサイトにおいては、以下のとおり説明されている:CAHMSという用語は、心理的又は行動に問題を持つ子どもや若者と協力する全てのサービスである。地域により、様々なサポートサービスが利用できる。: https://www.nhs.uk/using-the-nhs/nhs-services/mental-health-services/child-and-adolescent-mental-health-services-camhs/

(176)エビデンスの照会中、質問22及び23。

(177)Y Stanley (2020) ‘Domestic abuse: Keeping the conversation going’ at https://socialcareinspection.blog.gov.uk/2020/01/07/domestic-abuse-keeping-the-conversation-going/

 

                                                                  【望月彬史】