UK司法省報告

第3章 法的枠組

 

 

この章では、DAその他の重大な犯罪の申立てやその他の証拠がある場合の私法上の子の手続に関する法律について扱う。最も重要な国内法は、1989年児童法(以下「児童法」という。)である。私法上の子の手続に関する児童法の規定は、イングランドおよびウェールズのいずれにおいても適用される(注14)。家事事件手続規則(FPR)は、家庭裁判所および控訴審家事部における児童法その他の家事事件手続に関する一連の裁判所手続規則を提供している。家事事件手続規則は、裁判所において事件を扱う際に、必要に応じて審理の進行に関する実務指針(Practice Directions)によって補完されている。裁判所は先例拘束の原則に従い、また、その内容が国内法によって効力を付与されるのが一般であるが、国際法で定められた原則を遵守しなければならない。

 

3.1 キーポイント

3.1.1 私法上の子の手続

私法上の子の手続とは、ケアに関する手続のように地方自治体が関与する手続(公法手続)とは異なり、両親の間の争いといったような、対立する個人の間の問題を扱うものである。この手続は子の処遇に関する命令の申請に関するものがその大部分を占めている。命令としては、子どもの同居親、子どもと共に過ごすべき者その他の子どもとのコンタクト(訳者注:面会交流のほか、一方の親と一緒に時間を過ごすことを含む)といった問題に関して児童法第8条に基づく裁判所による命令等である(注15)。これらの命令は、以前は「コンタクト命令(contact orders)」および「レジデンス命令(residence orders)」と呼ばれていたものである。この子の処遇に関する命令という用語は2014年児童と家族に関する法(the Children and Families Act 2014)により導入されたものである。

 

3.1.2 福祉原則と福祉チェックリスト

子どもの福祉(child’s welfare)は、裁判所が子どもの成育(upbringing)について判断する際の最も重要な考慮事項とされている。これは「福祉原則」と呼ばれ、児童法第1条第1項に規定されている。児童法第8条に基づく9命令の決定、変更および廃止をする際に子の福祉について判断する場合、裁判所は関連するすべての状況、特に、児童法第12条第3項で制限列挙されている福祉チェックリストについて考慮することが求められている。福祉チェックリストに含まれているものは次のとおりである。

・確かめうる限りの子どもの意思と心情(年齢および発達の状況に応じて考慮)

・子の身体的、感情的および教育的ニーズ

・状況の変化が子に及ぼす影響

・子の年齢、性別、成育背景その他裁判所が関連すると考える特性

・子がこれまでに受けた危害またはこれから受ける恐れのある危害

・両親(その他裁判所が適切だと考える者)のいずれが、子のニーズに適しているか

・この手続における裁判所の裁量の範囲

 

危害に関しては、児童法第31条第9項で「自分以外の者が酷い扱いをされること(ill-treatment)を見たりまたは聞いたりすることで生じる気持ちの落ち込み(impairment)といったようなものも含めて、酷い扱いをされたり健康または発達に関する障害を生じさせたりすること。」と定義されている。この規定から、(身体的虐待に対して)非身体的な考慮事項に関しては「発達(development)」、「健康(health)」および「酷い扱い(ill-treatment)」という文言を当てているということが明らかである(注16)。児童法第1条第2項では、対応の遅れが子どもの福祉を損なう危険性を高めることになると規定されており、裁判所としてはこの点を考慮しなければならない。これに関連して、児童法第1条第5項にある「ノー・オーダー原則(命令しない原則)」についても注意が必要で、命令を出さないよりも命令を出すほうが子どもの利益となる場合に限って裁判所は命令を出さなければならないと規定されている。

 

3.1.3 親の関わりへの法律上の推定

子と親との間のコンタクトについては、常にこれを認めなければならないといった権利義務が存在するわけではない。(親の離別後に、親子間のコンタクトについて、これを常に認めなければならないというわけではないと解される。)しかしながら、児童法第1条第2項A号では、(親の離別後に)(別居)親が子の生活に関わることで子が危害を受けるまたは受ける危険性があることを示す証拠がない限り、親子のかかわりを継続することが子の福祉を促進するという推定規定があり、裁判所はこの推定に従うこととされる(注17)。「関わり」に関しては、児童法第1条第2項B号で「直接または間接の何らかの種類の関わりで、子と過ごす時間配分のことを指すわけではない。」と定義されている。この推定(親の関わりが子の福祉を促進する)については、児童法第8条の命令を出し、変更し、廃止することを検討する場合を含めて、所定の私法上の子の手続において適用される(注18)。この推定については、2014年に法律で明記される以前から、すでに判例法で確立されており、親と子とのコンタクトを禁止する説得力のある理由を裁判所に提示しない限り、原則として双方の親が子どもの生活に関わることが子の福祉を促進するものであると解されていた(注19)。

 

3.1.4 基本的人権と国際法

裁判所を含めて、全ての公的機関は、欧州人権条約(ECHR)で定められた権利を遵守する必要がある。また、1998年人権法(The Human Rights Act 1998)は、裁判所その他の公的機関に対してさらに具体的な義務を課し、人権侵害を受けた個々人に対する救済を明記することで、国内法において、条約上の権利をさらに強化した。私法上の子の手続に関しては、欧州人権条約の第8条で規定する家庭生活を尊重する権利が重要なかかわりを持っていた。「家庭生活」には、親子の関係が含まれており、DAの被害者である子どもや成人を深刻な危害から守る必要があり、そのために必要かつ適切である場合以外では親子のコンタクトを制限してはならないと解されていた。「市民的権利(civil rights)」について判断する場合には公正な審理を受ける権利が保護されなければならないと条約の第6条では規定されていた。この規定には、子の処遇その他の私法上の子の手続に関する紛争が含まれていた。更に、条約の第2条および第3条は、DAその他の重大な犯罪の申立てをする場合にも関連するものであった。条約の第2条は生きる権利(right to life)、第3条は拷問その他の非人道的または人の人格を傷つけるような扱いから解放される権利に関するものであった。個人がこれらの非常に深刻な危害を現に受けている、またはその危険にされされていることを認識した場合には、国家(裁判所を含めた)は、効果的な保護を提供する強い義務を負っているということが、欧州人権裁判所によって強調されていた(注20)。

 

英国は、国連の児童の権利に関する条約の締約国でもあり、裁判所および各政府は条約の規定を尊重しなければならない。児童の権利に関する条約は子どもの生活の全ての領域をカバーする54条の規定で構成されている。条約の第9条(親からの分離の禁止)では、子の最善の利益に反しない限り、親の離別後も、両親が子とのコンタクトを維持する権利が規定されている。第12条(意見表明の権利)では、児童の意見や希望は、児童に影響を及ぼすすべての事項について考慮される権利が規定されている。第19条(虐待・搾取からの保護)では、親の監護を受けている間、あらゆる形態の身体的もしくは精神的な暴力、障害もしくは虐待、放置もしくは怠慢な取り扱い、不当な取り扱いまたは搾取(性的虐待を含む)から保護される権利が規定されている。これらの権利は、前述の福祉チェッリスト1989年児童法の親の関わりの推定規定といった形で、国内法に反映されている。ウェールズでは、2011年児童および青年の権利に関する措置(the Rights of Children and Young Persons (Wales) Measure 2011)という形で(教会)法により反映されている(注21)。

 

 2012年に、英国政府は、「女性に対する暴力及びドメスティック・バイオレンスの防止に関する欧州評議会条約」(the Council of Europe Convention on preventing and combating violence against women and domestic violence (Istanbul Convention (IC)):以下「イスタンブール条約」という。)に署名し、このことから、特に、子どもとのコンタクトが「被害者または子どもの権利と安全」を損なうことの無いよう、適切な措置を講ずるということが求められることとなった(注22)。

 

3.1.5 実務指針(PD)12B-子の処遇に関するプログラム(CAP)

「子の処遇に関するプログラム(Child Arrangements Programme’ (CAP))」として知られている、実務指針12B(以下「PD12B」という。)は、家事事件手続規則第12章で主として扱う、子の処遇に関する事件に関して裁判所が従うべき手続規則を提供している。現行のCAPは2014年に改訂されたもので、当事者が子どもの問題を解決する際に、できれば裁判外で、子ども中心でその安全に配慮した合意形成を支援することを目指すものとなっている。CAPは子の処遇に関して、次の4段階で考えている。すなわち、「受付と事件の割り振り(家庭裁判所で事件をどの段階に配置するか)」「第1回紛争解決審理指定(First Hearing Dispute Resolution Appointment (FHDRA),)」「紛争解決指定(Dispute Resolution Appointment (DRA))」および「最終審理(Final Hearing)」の4段階である。これらの各段階において、裁判所は、その取り決めが安全かつ適切であると解される場合には、可能な限り当事者間の合意により紛争を解決することを推奨している。CAPは、子の処遇に関する命令の履行を求める申し立てについても、裁判所による対応の指針を提供している。すべての事例というわけではないが、第1回紛争解決指定(FHDRA)または紛争解決指定(DRA)の段階で問題は解決されており、最終審理(FH)まで行く事例はあまり多くはない。

3.1.6 DAと実務指針(PD)12J

実務指針12J(PD12J)(注23)は、2008年の導入で、DAが問題となっている場合の子の処遇に関する事件を、家庭裁判所や高等法院(High Court)がどのように扱うかを定めている。虐待が認められるもしくはその疑いがある場合、子どもまたは当事者の一方が他方のDAを受けたことがあると信ずべき理由がある場合、またはそのような虐待の恐れがある場合にPD12Jが適用される。

 

PD12Jの導入前は、「Re L, V, M, H (Contact: Domestic Violence) [2001]」事件の控訴院(Court of Appeal)判決で画期的な判断が示され、これがDAの問題を扱う際の指針となっていた(注24)。この判決により、「家庭内暴力(domestic violence)にさらされることでどんな問題が生じるかということに対する意識」を高め、それまで「裁判所がこのような申立てに対して積極的に対応しない傾向があったこと」を認識させ、父母間の虐待行為自体が「子の養育にとって重大な誤りであり、それは、子の世話をすべき者を守るという意味でも誤りで、そのことで子がどのような感情を抱くかという意味でも誤りである」ということの理解につながった(注25)。PD12Jは導入以来、DAが子どもや親に及ぼす影響についての新たな知見を反映するため2回改訂され、必要な規定が盛り込まれた。2014年に、それまで使われていた「家庭内暴力」の定義に修正を加えるために改訂され、PDの適用に関してより明確な指針を裁判所に示し、事実認定の審理をより明確にし、子の処遇に関する仮処分(暫定命令)に際してのより厳格な判断基準が示された。その後2017年にさらに改訂され、PD12Jが必須であることをより明確にした。具体的には、家庭内「暴力(violence)」という用語を(ドメスティック)「虐待(abuse)」に変更し、DAの範囲を広げ、文化的なものも含まれることになり、虐待されていない子や親の安全も重視し、親子のかかわりの継続が子の利益であるとする推定(日本における「原則面会交流論」)について、裁判所が個別の事件で慎重に検討する必要があることが求められた。

 

子の処遇に関するオーダーに関して、PD12Jは第3項(paragraph 3)で、DAを次のように定義している。

 

「性別やセクシュアリティに関係なく、16歳以上の家族もしくは親密な者の間で生じる、支配(controlling)、強制的(coercive)もしくは脅迫的(threatening)な態度、暴力または虐待の事実(インシデント)またはそのような傾向(patterns of incidents)の全てが含まれる。これには、心理的、身体的、性的、金銭的または感情的虐待が含まれるが、これらの事柄のみに限定されるわけではない。DAには、「婚姻を強制すること」「尊厳を損なうような暴力」「持参金に関連する暴力」「国際結婚の否定」といったような文化的な特定の形態の虐待も含まれるが、それらに限定されるわけではない。」

 

「威圧的態度(coercive behaviour)」に関しては、PD12Jで、「攻撃(assault)、脅威(threats)、屈辱(humiliation)および威嚇(intimidation)その他の虐待(abuse)行為またはその傾向(pattern of acts)で、その他の虐待としては、被害者に対する危害、処罰または恐怖させるようなことが含まれる。」と定義されている。「支配的態度(Controlling behaviour)」に関しては、「人を従属(subordinate)させるように仕向けたり、人を支援源(sources of support)から隔離することで依存するように仕向けたり、自分の利益のために人の資源と能力を利用したり、人が独立し、抵抗し、避難するうえで必要とされる手段を奪い、人の日常の行動を規制すること。」と定義されている。PD12Jが適用されると、子の処遇プログラム(CAP)で設定された手続が必要に応じて拡張されることになる。裁判所が、DAで係争中の申立てについて判断するために事実認定のための聴取(fact-finding hearing)が必要だと判断した場合には、これを、「第1回紛争解決審理指定(First Hearing Dispute Resolution Appointment (FHDRA),)」の後で、「紛争解決指定(Dispute Resolution Appointment (DRA))」の前に実施することになる。DAの事実があることが判明した場合には、裁判所は、虐待をしている加害親に対して、DA加害者プログラム(domestic abuse perpetrator programme (DAPP))に参加することを指示したり、専門家によるリスク・アセスメントを受けるよう指示をすることができる。PD12Jでは、暫定命令(interim orders)および終局命令(final orders)の判断をする場合の追加的考慮事項を明示している。これらについては、次で詳しく説明する。

 

3.1.7 その他の重大な犯罪

今回の委員会によるエビデンス提供の呼びかけは、(DAだけでなく)「その他の重大な犯罪」に関するものも対象としていた。「その他の重大な犯罪」は法律で定義されているわけではないが、委員会からの依頼文書の文言としては、子どもまたは/および親に危害を及ぼす可能性があるとする申立てまたはその他の証拠のある場合が対象とされていた。したがって、これに含まれるものとしては、親の一方によるDA、殺害行為もしくはその未遂、強姦もしくは性的暴行、または子どもや他方の親に危害を生じさせる可能性のあるその他の行為を、現に実行した場合または実行したと申し立てられている場合が挙げられる。このような行為の内で、DAではない形態のものはPD12Jの範囲外とされるが、児童法(the Children Act)、PD12B、人権法(the Human Rights Act)および児童の権利に関する条約で定める原則の対象範囲であると解される。私法上の子の手続の目的として、このような犯罪について重大な問題として考慮しなければならないとされる根拠は、児童法第1条で規定する子の福祉に対する考慮という点にある。特に、子どもがそのような犯罪で被害を受けていたり、または被害を受ける危険性がある場合には、児童法第1条第2項A号で規定する、親の関わりへの法律上の推定の適用を除外する必要性との関連で問題となる。

 

3.1.8 優先的事項

家事事件手続規則は、当事者の公平な立場を確保し、当事者の要求、性質および困難さという点で、裁判所の資源を適切に配分することも含めて、福祉の問題に関係する事件を公正に対処する上での優先的事項を提示している。裁判所は、家事事件手続規則により付与された権限の行使または規定の解釈に際して、優先的事項の実効性を高めるように努めなければならず、また、当事者としては裁判所がそれを実現できるよう支援することが求められている(注26)。

 

3.1.9 子の処遇に関する命令の申立て

児童法第10条は、子どもの母、父、後見人、親責任を有する者、その他必要な状況にある者は、裁判所による許可を要することなく、子の処遇に関する命令の申立てをすることができると規定している。これら以外の者、例えば、祖父母なども、この申立てをすることが認められるが、原則として裁判所の許可が必要とされる。この許可申請と子の処遇に関する命令の申立ては、実際には、同時に行われるのが通例である。

2014年児童および家族法(Children and Families Act 2014)第10条は、「関連する家事事件の申立て」を行う前に、メディエーションまたはその他の紛争解決方法の利用を検討するために、家族に関する「メディエーションに関する情報および評価会議(MIAM)(family Mediation Information and Assessment Meeting (MIAM))」に出席する必要があることを義務付けている。「関連する家事事件の申立て」に関しては、家事事件手続規則3.6および実務指針(PD)3Aで定義されており、それには、子の処遇に関する命令および私法上の子の手続に関する申立てが含まれている。この会議では、認定メディエーターによるメディエーションに関する情報提供が行われ、事件の解決にメディエーションが適しているかどうかが検討される。家事事件手続規則3.8では、家庭内暴力の証拠がある場合、または子どもが社会サービスケア保護計画(social services care protection plan)の対象またはその必要性のある場合には、事前の「メディエーションに関する情報および評価会議(MIAM)」の要件について除外されることが規定されている(注27)。

DAの証拠がある場合には、その被害者が家庭裁判所にアクセスする前にMIAMに出席することを強制されるべきではなく、MIAMへの出席を免除するとともに、裁判所の法律扶助を提供する必要があるということを、司法省としては確認している。DAが申し立てられたが、申請者がMIAMの免除を受けるために必要とされる十分な証拠を提示できないときには、DAの申し立てのある事例でメディエーションを開始または継続することが適切かどうかを特定するために、認定メディエーターが遵守しなければならない専門的な基準が定められている。このような状況において、MIAMを実施するメディエーターは、「メディエーションを進めることが必ずしも当該紛争解決の手段として適していない」という前提で、申立人をメディエーションの対象から除外することが認められている(FPR 3.8(2)(c))。メディエーションに臨む当事者たちの多くは、それまで自分がDAの被害者だということを公表していない場合が多く、更に、自分たちがその被害者だということすら認識していない場合もある。したがって、この問題に関する現代の政策と実践ガイドラインでは、専門家がDAの兆候を見逃すことの無いよう適切な教育と訓練を受け、DAに適切に対処し、DAを親の紛争と誤って判断することなく、弱い立場にある被害者の保護に最大限の努力をすることを明示している。子の処遇に関する命令の申立てをする際には、申請者がC100裁判所のフォーム(C100 court form)に必要事項を記入し、これを裁判所に提出しなければならない。オンラインによる申立ての場合には、C100およびMIAMの認定または免除フォーム一式にされている。追加情報を記載するものとして、フォームC1A(form C1A)があり、これには、申立人が、DAに関して簡単な説明を記載するようになっている。子の処遇に関する命令申立が受理されると、裁判所は、C100およびC1Aの写しを相手方である親に対して送付する。相手方である親が希望する場合には、自分のC1Aフォームの記載をして、裁判所に提出することができる。

 

3.1.10 法律扶助

紛争当事者は、必要に応じて、ソリシターやバリスターからの法律的なアドバイスまたは法廷への出頭といった費用その他の支出を賄うために、法律扶助を求めることができる。法律扶助に関しては、2013年から、「2012年法律扶助および犯罪者に関する判決ならびに処罰に関する法律(the Legal Aid, Sentencing and Punishment of Offenders Act 2012 (LASPO))」の管轄に服している。法律扶助の決定は、法律扶助機関(the Legal Aid Agency)によって行われている。LASPOの規定では、当事者がDAの被害者である場合もしくは子どもを児童虐待から保護することを求めている場合、または子どもが手続上当事者とされた場合を除き(この場合、子ども自身は援助対象とされるが、それ以外の者については、その者自信が対象となる資格を有しない限り援助を受けることはできない。)、私法上の子の手続では、利用ができないとされている。DAまたは児童虐待に関する私法上の子の手続において、法律扶助を受けるためには、申請者としては、まず、「2012年民事法律扶助(法律扶助)(手続)規則(the Civil Legal Aid (Procedure) Regulations 2012)」の規定に従って、虐待の事実またはその危険性があることを示す証拠の提示が求められる。この2012年規則の証拠要件はこれまでに何度も改訂され、直近のものとしては2018年1月に、DAの範囲が広げられ、証拠提示の時間的制約も緩和されたことにより、DAの被害者やその危険性のある者が法律扶助の要件を満たすことが容易になった。この改定がどの程度影響したかについては明らかではないが、改定が行われてから、法律扶助の申請および承認の数は増加してきている(注28)。証拠として提出され受理されたものとしては、DAまたは児童虐待といった犯罪での有罪判決、警告の発令もしくは審理の継続、保護のための差し止め命令、または法律扶助の申請者の求めに応じて作成されたDAを扱う適切な専門家により作成された文書といったものが含まれている。法律扶助の申請に必要とされるすべての要件とともに、申請者は資力要件および必要性要件(ミーンズ・テスト:means and merits tests)を満たす必要がある。申請者は、「2019年民事法律扶助(サービス財源および支出)規則(the Civil Legal Aid (Financial Resources and Payment for Services) Regulations 2013)」で定める、所定の財政的基準に適合することが求められる。2019年2月に公表されたリーガル・サポートに関する行動計画によると、司法省はこの資力要件について見直しをするとされている。この見直しに関連して、DAの被害者に対して資力要件がどのように適用されるかについての、具体的検討が行われる予定である。また、申請者に対して提供される法律扶助の形態(例えば、代理人)が、法律扶助として保証すべきものとして適切なものであることを示さなければならない。提供される法律扶助の形態に応じて、必要性要件も異なり、これらについては、「2013年民事法律扶助(必要性基準)に関する規則(the Civil Legal Aid (Merits Criteria) Regulations 2013)」で規定されている。もし法律扶助を受ける資格が認められなければ、当事者は法的代理人を付けることができず、自分自身が裁判所に出頭することになり、「本人訴訟(LIP)」として対応することになる。

 

3.1.11 裁判所における支援

裁判所は、家事事件の手続において、弱い立場に置かれている者(当事者および証人)を支援するために「関与指令」として知られている所定の調整権限を行使することができる。例えば、証拠を提示する際に、衝立を立てて本人が見えないようにしたり、ビデオカメラを使って遠隔による方法をとることもあり、控室が別々になるように手配したり、裁判所の建物への出入りに配慮して、当事者が顔を合わさなくても済むような調整が行われる。弱い立場に置かれている者に対してこのような支援を行う規定およびガイドラインが導入されたのは、2017年後半のことで、家事事件手続規則の第3条A項(Part 3A of the FPR)に規定され、それを受けてプラクティス・ディレクション3AA(Practice Direction 3AA (PD3AA))で細則を定めている。当事者の裁判手続への参加や提示された証拠の信ぴょう性が、立場が弱いことにより損なわれ、抑制的になることの無いよう、裁判所は慎重に対応し、その恐れがある場合には、必要とされる支援や配慮をすることが求められている(注29)。裁判所は、例えば2005年精神保健法(Mental Health Act 2005)で規定する能力を欠く個人といったような「保護の必要な者(protected parties)」に対して、必要な支援や配慮を提供することが求められている。更に、PD3AAでは、可能な限り早期に立場の弱さを裁定し、当事者や証人が、弱い立場にあることから受ける恐怖感や苦痛を感じることなく訴訟手続に参加できるように、当事者と協力して裁判所が対応しなければならないことが明記されている(注30)。家事時事件手続規則第3条A項3号(Rule 3A.3)では、弱い立場に置かれているかどうかについての判断について、「脅迫の事実またはその認識(actual or perceived intimidation)から生じる影響についての考慮といったことを含めた、裁判所が確認すべきリストが明記されている(注31)。虐待の意味についてはPD3AAに詳細に記載されており、DA(PD12Jで定義されている。)その他の形態の虐待、例えば性的虐待、人身売買および何らかの差別に基づく虐待とったような者が含まれる(注32)。しかしながら、このような特別措置を講ずる上で必要とされる公的資金の利用について、裁判所に権限を付与することについては、何ら規定されていない(注33)。訴訟を提起しようとする者に対しては、「マッケンジー・フレンド(McKenzie Friend)」と呼ばれる、一般人からの必要な援助を受ける権利が認められている。2010年に、高等法院の家事部長と記録長官(the Master of the Rolls)は、マッケンジー・フレンドに関して、提供できる支援の範囲といったことも含めて、裁判所および訴訟を提起しようとする者に対しての注意事項として、プラクティス・ガイダンス(Practice Guidance)を発出した(注34)。

 

 

3.1.12 反対尋問(Cross-examination)

当事者の内のいずれか一方が、裁判に際して代理人の弁護士選任をしていない場合には、私法上の子の手続において相手方に対する反対尋問をすることが求められている。PD3AAでは、弱い立場にある当事者または証人の反対尋問に関して関与指令を考慮することを裁判所に義務付けており、これには、加害者または加害者である疑いのある者によるものではなく、裁判官による尋問も含まれている。PD12Jでは、必要かつ適切であると判断される場合には、裁判官が当事者に代わって証人尋問をする準備をするよう規定しており、裁判所は強制的事実調査(inquisitorial approach)を行うことになる(注35)。現在、DA法案が議会に提出されており、これによると、当事者の一方が、他方当事者または証人に対して、所定の犯罪により有罪判決を受けていたり、起訴されていたりする場合(またはその逆の場合)、当事者間に保護命令の仮処分が出されている場合、または規定で認められたDAの証拠が提示されている場合には、当事者間での反対尋問を禁止する規定が含まれている。規定では、証人による証言の信憑性が損なわれ、証人に深刻な苦痛を生じさせる恐れがある場合には、裁判の公正に反しない限りにおいて、当事者間での直接の反対尋問を禁じる指示をする裁量権を裁判所に付与している。更に、当事者の利益を守る観点から、必要な場合に、証人に対する反対尋問を担当する、公費負担での公認の代理人の選任権を裁判所に付与することも規定されている。

 

3.2 DAその他の重大な犯罪が主張されている場合の子の処遇に関する

命令の申立ての審理

3.2.1 紛争中の申立て(disputed allegations)

DAその他の犯罪により、子や親に危害が生じる恐れがあるということが係争中の事件で主張されている場合、裁判所は、主張されているような行動を確認する事実調査の審理が必要であるかについて判断することが求められている。PD121Jでは、子の処遇に関する命令またはコンタクトから生じる危害の評価について判断する場合、裁判所は係争中に主張されたDAに関して、事実調査の審理に必要性をできるだけ早期に判断すべきであると規定している。

実務指針PDでは、裁判所がこの問題について判断する際の考慮事項を明記している(注36)。裁判所が手続を進めるべき事実が証拠として(例えば、法律扶助を受けるための資格やそのために必要とされる証拠)、提示されているかといったことが考慮事項として挙げられている。すなわち、その主張の根拠となる証拠で、その主張の証明が、裁判所の事件解決に関連するもので、当事者やCafcass/ Cafcassウェールズの見解を含めて、当該事件の全体から考えて、(事実調査の)審理が必要かつ適切であるかといったことを考慮することになる。

他の重大な犯罪に関しては特に明文の規定はないが、子の処遇に関するプログラム(CAP)では、審理の必要性があると認められる場合には、裁判所は、PD12Jの規定に準じて事実認定のための聴取の実施を命じることができるとされている(注37)。

 

3.2.2 暫定的コンタクトの命令

裁判所は、重要な事実が立証される前の段階においても、子の処遇に関する命令についての判断をする場合がある。これは「暫定的命令(interim order)」と呼ばれるものである。PD12Jでは、暫定的命令に関しても規定されており、それが子の利益であることが明らかであり、その命令により子または親が「取り返しのつかないような危害にさらされる恐れ」(DAが子の精神上の健全な発達、他方の親の安全および支配的または威圧的態度も含めてDAから保護する必要性等に重要なかかわりがある場合)がない場合に限り、裁判所が子の処遇に関する命令について判断することができると明記されている(注38)。裁判所は、この評価に関して、感情的な危害からの保護を含めて、子や親の安全に関するあらゆる側面についての検討、および求められているコンタクトの実施方法、例えば、付き添い型または監視付きといった支援付きのコンタクトの必要性および間接的なコンタクトの必要性といったことについて考慮することが求められている。「コンタクト実施の原則(原則面会交流実施論)」といった考え方は採用されておらず、手続を通じて、(子の)福祉(優先)(が確保されなければ)と「ノー・オーダー原則」がとられている。

 

3.2.3 Cafcass および Cafcassウェールズ

児童家庭裁判所諮問支援サービス(Cafcass)は、2000年刑事司法裁判所法(the Criminal Justice and Court Services Act 2000)の成立を受けて、2001年に創設された公的機関である。ウェールズにおいては、2005年にこの役割を担う機関が、Cafcass ウェールズとして創設されている(注39)。Cafcassの機能及び権限については、家庭裁判所の手続に関して、子の福祉を守りその促進を図ることを含めて、刑事司法裁判所法で定められており、事件の申立てに関して裁判所に助言を行い、子どもの(手続上の)代理人選任についての対応を行い、事件にかかわる子ども、およびその家族に対して情報、助言その他の支援を行うことが規定されている。CafcassおよびCafcassウェールズの重要な役割として、手続を進める中で、必要に応じて子の意見や希望について聴取するということが挙げられる。刑事司法裁判所法の規定に加えて、児童法、家事事件手続法および実務指針により、Cafcassおよびand Cafcassウェールズには、いくつか特別な役割が定められている。子の処遇に関する命令の申立てがなされた場合に、Cafcassおよび Cafcassウェールズは、子に生じる危害を特定する上で必要な安全の確認または確認事項について、裁判所に勧告を行う役割を担っている(注40)。これら全ての事件手続に関して、子の親のいずれかが、関連する刑事事件での犯罪歴があるかどうか、また、子および家族が地方自治体の児童サービスまたは児童福祉との関連で注意すべき問題を有しているかどう等の問題が対象に含まれている。CafcassおよびCafcassウェールズは、また、父母(その他の当事者)に対して、個別に電話で連絡を取り、申立てまたは警察もしくは地方自治体の確認だけでは必ずしも明らかにならないような点についても、安全の観点から聴取し確認する。CafcassおよびCafcassウェールズにより実施された、これらの調査結果は、安全保護報告書または書証という形で、第1回紛争解決審理指定(FHDRA)前に、裁判所に対して提出される。この報告書および書証の写しは、当事者に事前に送付すると子や当事者を危険にさらす恐れがあるとCafcassおよびCafcassウェールズが裁判所に助言した場合には、第1回紛争解決審理指定において審理されることになるが、危険性がないと判断された場合には、事前に当事者に送付されることになる(注41)。PD12Jでは、これら安全保護に関する情報がない限り原則としてコンタクト命令を下すことができないと規定されている(注42)。安全保護に関する報告書または書証には、事件手続の進め方および事実調査についての審理の必要性といったことについて、裁判所に対する勧告が記載されることが通例である。更に、CafcassおよびCafcassウェールズの担当者が、第1回紛争解決審理指定(日)に、出廷し、紛争となっている問題点を明らかにするために、審理前または審理中に、個別または同席で当事者と面談することが行われることも多い。

 

3.2.4 (子の)福祉に関する報告書(Welfare reports)

児童法第7条では、私法上の子の手続に関する子の福祉に関して、CafcassまたはCafcassウェールズの担当者に報告書を作成して裁判所に提示するよう命じる権限が裁判所に付与されていると規定されている。家事事件手続規則および実務指針PDでは、この問題に関する裁判所ならびにCafcassおよびCafcassウェールズの役割、例えば、裁判所が子の福祉に関する報告書の必要について考慮すること、安全保護の問題が指摘された場合にCafcassおよびCafcassウェールズが行うべき手順といったような、さらに詳しい内容が規定されている(注43)。PD12Jでは、DAに起因して子に対して何らかの危害が生じる恐れがあるという問題が提示されている場合には、子の利益の観点から調査報告の必要性が全くないということが明らかな場合を除いて、裁判所としては全ての事件において、この報告書作成を命じることを検討しなければならないと規定している。原則として事実調査についての審理が行われた後で、この第7条報告書の作成が求められることになっており、報告には、子や被害親に対する将来的な危害の評価を含めて、裁判所が対処すべき必要があると思われる全ての事項を明確に提示することが求められている(注44)。当該事件の家族が既に子の問題に関する社会福祉(児童相談所等)の介入を得ている場合には、Cafcassに代わって、第7条報告書の作成が地方自治体のソーシャルワーカーによって行われる場合もある。事件の手続を進めている際に、子の福祉にかかわる懸念が生じた場合には、裁判所は児童法第37条の規定に基づいて、地方自治体に対してさらなる措置を講じる必要があるかどうかについて検討するよう命じることができる。

 

3.2.5 子の代理人(Separate representation of the child)

当事者の主張する内容の深刻さや、事件の複雑さといったことを考慮して、裁判所は申立ての対象となる子が手続の当事者となり、親とは別の代理人を選任する必要があるかについて検討することが求められている(注45)。子が当事者として裁判に参加する場合には、メリット・ミーンズテスト(merits and means test)の基準に照らして、法律扶助を受けることが認められる。裁判所は、家事事件手続規則第16条第4項(Rule 16.4 of the FPR)の規定に従い、子の後見人の任命の必要性について、慎重に検討することが求められている。子の後見人の権限および義務については、実務指針PD第16条A項(子の代理人)で規定されている。

 

3.2.6 終局命令(Final orders)

DAが生じていることが明らかとなった場合、子に生じる危害の可能性を払拭し、子の最善の利益を実現できる、子の処遇に関する命令の終局的判断を行うことが求められている(注46)。この場合、裁判所としては、特に、DAの事実と専門家から寄せられたリスク評価報告とを参照して、(子の)福祉チェックリストの各要件について検討をしなければならない(注47)。更に、重要な点として、子および子の同居親が受けてきた危害、子の処遇に関する命令が出された場合に危害が生じる可能性につき検討することが求められている。裁判所は、父母間の行為および子に対する行為、ならびにその影響についても考慮する必要がある(注48)。PD12Jでは、子に対する危害だけでなく、子の同居親に対する危害についても考慮しなければならないことが明記されており、更に子の処遇に関する命令が出された場合に、これらの者が受ける可能性のある危害の可能性についても、その対象とされている。裁判所としては、「子および子の同居親の身体的および精神的安全について、コンタクトの前、途中および後の全てを通じた安全ならびに子の同居親が将来的にDAを受けることがないことを可能な限り確保できる」ことを確信出来る場合に限り、コンタクトの命令を出すことができる(注49)。PD12Jでは、DAの問題に関して明らかとなった事実がどの程度、裁判所の子の処遇に関する判断に影響を与えたかについて、明示することを求めている。特に、DAの加害者と子とのコンタクトについて判断する場合には、その判断が子にとって有益であり、子を危険にさらすことを避けるためであるということの説明を裁判所に義務付けている(注50)。

 

3.2.7虐待的な申立て(Abusive applications)

DAの事実が主張されている事件で、裁判所が子の処遇に関する命令について審理する場合、PD12Jでは、申立てをしている一方の親が、子の最善の利益の観点に立っているのか、または、他方の親に対してDAの存在を利用しているのかという点について、裁判所が検討しなければならないと明記している(注51)。裁判所は、児童法第91条第14項(section 91(14) of the Children Act)に基づき、裁判所が必要と判断する場合には、裁判所の許可なく、重ねての申立てを妨げる権限について規定している。これは「申立て禁止命令(barring orders)」と呼ばれ、裁判所が児童法に基づく命令の申立てに対する処分を行う際に利用できる。子どもの成育に関するすべての申立てと同様に、本条に関する命令について判断する際には、裁判所は子の福祉について最善の考慮を払うことが求められている。この問題に関して先例となる、Court of Appeal case of Re P (A Child) [1999]事件の控訴審判決(注52)では、児童法第91条第14項に関するガイドラインとして、このような命令を下すことは「裁判を受ける権利の侵害(intrusion into the unrestricted right of the party to bring proceedings)」に該当し、不合理な申立てが繰り返された場合にそれを防ぐための最後の手段であり、その権限を行使するのはあくまでも例外的な場合に限られることを判示している。児童法第91条第14項の命令が出されている場合に、申立ての許可申請がなされた場合、裁判所としてはそれが「議論の余地のあるケース(arguable case)」かどうかが問題となる。命令が出された状況に実質的に大きな変化がない場合には、申立て許可の申請が認められる可能性は少ないと解される(注53)。

 

【注】

(14)Since 2014, Part III of the Children Act 1989 does not apply in Wales and has been replaced by the Social Services and Well-being (Wales) Act 2014. However, these provisions relate to Local Authorities’duties towards children in need and children at risk of harm rather than to private law children’s cases.

(15)Note other private law children proceedings (FPR 12.2), include other section 8 orders (prohibited steps and specific issue orders).

(16)Private law children proceedings may concern harm and risks of harm to children arising from various forms of parental behaviour. The call for evidence and this report focus on harm and risks of harm arising from domestic abuse and other serious offences by a parent against a child or the other parent, although these may appear alongside and be compounded by other risks and allegations of harm.

(17)Children Act 1989, s1(2A); s1(6).

(18)Children Act 1989, s1(4)(a); s1(7).

(19)See, for example Re C (A Child) [2011] EWCA Civ 521; and Re W (Children) [2012] EWCA Civ 999.

(20)See Opuz v Turkey (app no 3340/02, 9/6/09) – a case concerning the failure of criminal courts to protect victims of domestic abuse from breach of their Article 2 and Article 3 rights. See also Bevacqua and S v Bulgaria (app no 71127/01, 12/6/08), which found that a family court had breached the Article 8 rights of a child and mother who had been victims of the father’s domestic abuse.

(21)1 See https://gov.wales/childrens-rights-in-wales)

(22)Istanbul Convention, Article 31(2).

(23)The revised Practice Direction 12J – Child Arrangements and Contact Orders: Domestic Abuse and Harm is available here: 

https://www.justice.gov.uk/courts/procedurerules/family/practice_directions/pd_part_12j

(24)Re L, V, M, H (Contact: Domestic Violence) [2001] Fam 260.

(25)Re L, V, M, H (Contact: Domestic Violence) [2001] Fam 260.

(26)FPR 1.1; 1.2; 1.3.

(27)FPR 3.8 refers the court to PD3A which details the evidence required to demonstrate an exemption. FPR 3.8 and PD3A refer to ‘domestic violence’ rather than ‘domestic abuse’.

(28)8 https://www.gov.uk/government/statistics/legal-aid-statistics-quarterly-october-to-december-2019

(29)FPR 3A.4 and 3A.5.

(30)PD3AA, paragraphs 1.3 and 1.4.

(31)The list of matters is set out at FPR 3A.7, paragraphs (a) to (j) and (m).

(32)PD3AA, paragraph 2.1.

(33)FPR3A.8(4).

(34)Practice Guidance: McKenzie Friends (Civil and Family Courts) is available here: https://www.judiciary.uk/wp-content/uploads/JCO/Documents/Guidance/mckenzie-friends-practiceguidance-july 2010.pdf

(35)This provision has been elaborated in case law – see the review of case law on PD12J, section 5.3.

(36)PD12J, paras 17 and 18.

(37)PD12B, para 20.1.

(38)PD12J, paras 25, 26, 27.

(39)See the Children Act 2004, Part 4 and para 13 of Schedule 3 to that Act.

(40)PD12B para 13.1-13.7.

(41)PD12B, para 14.13(a)

(42)PD12J, para 12.

(43)FPR 12.6; PD12B, paras 13.1 and 14.13.

(44)PD12J, para 21, 22, 23.

(45)PD12J, para 24.

(46)PD12J, para 35.

(47)The Children Act, s16A sets out that a risk assessment must be carried out and provided to the court where an officer has cause to suspect that the child concerned is at risk of harm.

(48)PD12J, para 36.

(49)PD12J, para 36.

(50)PD12J, para 40.

(51)PD12J, para 37(c).

(52)Re P (A Child) [1999] EWCA Civ 1323.

(53)See further the case law review on section 91(14) ‘barring orders’.)

 

                                                                                                                                【小川富之】